[ 全4話 ]
奈良・春日野と
聖なる森の月夜
聖なる森の月夜
Sacred Forest
in Nara
in Nara
Sacred Forest
in Nara
in Nara
全4話
Sacred Forest
in Nara
in Nara
古の都・奈良。
この地を訪れると、ふと心に浮かぶある一編の歌がある。
「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」
この歌は、百人一首に収められた、あまりに有名な歌のひとつ。
作者は、安倍仲麿。
彼は、今から遡ること約1300年程前、遣唐使として中国に渡った一人の留学生だった。
だが様々な運命の巡り合わせから日本への帰国が叶わず、中国の地で生涯を終える。
そんな彼が抱き続けた、深い望郷の念を託したのがこの歌だった。
ある日、夜空を見上げ、遥か遠くを見渡すと月が浮かんでいた。
その月を眺めていると、自らの故郷、奈良・春日野の三笠山に昇る月がふと心に浮かんだ。
もう二度と帰ることが出来ない故郷。しかし、目の前にある月は、そんな故郷の地で昇る月と同じものであることを想い、静かに物想いに耽ったという。
そうすることで彼は、海の彼方にある故郷の記憶を手繰り寄せていたのかもしれない。
彼がかつて歌った三笠山とは、奈良・春日大社の後方に今も佇む、御蓋山のこと。この山は、遥か古の時代から神が宿る山と仰がれ、聖地として定められて来たという。
そして、この山の中には、1100年以上もの昔から禁足地として定められて来た、聖なる森がある。
その森の名は「春日山原始林」。
太古の自然を今に残す貴重な森として、世界遺産にも登録されている森だ。
そんな遥かな時を宿す、聖なる森の物語を辿ってゆくと、あるひとつの記憶に辿り着いた。
それは、かつて古の人々が紡いだ自然と人の共生の記憶。
その記憶は、新たな時代の価値観の礎となる可能性を秘めていた。
古の都・奈良に鎮まる聖なる森の物語を辿りながら、この森に宿る古の記憶を紐解いてゆきたい。
この地を訪れると、ふと心に浮かぶある一編の歌がある。
「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」
この歌は、百人一首に収められた、あまりに有名な歌のひとつ。
作者は、安倍仲麿。
彼は、今から遡ること約1300年程前、遣唐使として中国に渡った一人の留学生だった。
だが様々な運命の巡り合わせから日本への帰国が叶わず、中国の地で生涯を終える。
そんな彼が抱き続けた、深い望郷の念を託したのがこの歌だった。
ある日、夜空を見上げ、遥か遠くを見渡すと月が浮かんでいた。
その月を眺めていると、自らの故郷、奈良・春日野の三笠山に昇る月がふと心に浮かんだ。
もう二度と帰ることが出来ない故郷。しかし、目の前にある月は、そんな故郷の地で昇る月と同じものであることを想い、静かに物想いに耽ったという。
そうすることで彼は、海の彼方にある故郷の記憶を手繰り寄せていたのかもしれない。
彼がかつて歌った三笠山とは、奈良・春日大社の後方に今も佇む、御蓋山のこと。この山は、遥か古の時代から神が宿る山と仰がれ、聖地として定められて来たという。
そして、この山の中には、1100年以上もの昔から禁足地として定められて来た、聖なる森がある。
その森の名は「春日山原始林」。
太古の自然を今に残す貴重な森として、世界遺産にも登録されている森だ。
そんな遥かな時を宿す、聖なる森の物語を辿ってゆくと、あるひとつの記憶に辿り着いた。
それは、かつて古の人々が紡いだ自然と人の共生の記憶。
その記憶は、新たな時代の価値観の礎となる可能性を秘めていた。
古の都・奈良に鎮まる聖なる森の物語を辿りながら、この森に宿る古の記憶を紐解いてゆきたい。
- text / photo HAS
Chapter list
-
[ 序章 ]彼方の月夜 -
[ 前編 ]聖なる森 -
[ 中編 ]文明の影 -
[ 後編 ]母なる森 -
[ 最終編 ]朧げな光
Sacred Forest
in Nara
in Nara
- text / photo HAS
Reference :
-
「日本という国―歴史と人間の再発見」
- 編集:
- 梅原猛
- 編集:
- 上田正昭
- 出版:
- 大和書房
-
「森の日本文化 - 縄文から未来へ」
- 著者:
- 安田喜憲
- 出版:
- 新思索社
-
「鎮守の森 - 社叢学への招待」
- 著者:
- 上田正昭
- 出版:
- 平凡社
-
「照葉樹林文化 - 日本文化の深層」
- 編集:
- 上山 春平
- 出版:
- 中央公論新社
-
「照葉樹林文化論の現代的展開」
- 著者/編集:
- 金子 務
- 著者/編集:
- 山口 裕文
-
「世界遺産 春日山原始林 -照葉樹林とシカをめぐる生態と文化-」
- 編集:
- 前迫ゆり
- 出版:
- ナカニシヤ出版
-
「鎮守の森の物語 - もうひとつの都市の緑」
- 著者:
- 上田 篤
- 出版:
- 思文閣出版
-
「照葉樹林文化の成立と現在」
- 著者:
- 田畑 久夫
- 出版:
- 古今書院
-
「神道千年のいのり 春日大社の心」
- 著者:
- 花山院弘匡
- 出版:
- 春秋社
-
「宮司が語る御由緒三十話 - 春日大社のすべて」
- 著者:
- 花山院弘匡
- 出版:
- 中央公論新社
-
「新編 日本の面影」
- 著者:
- ラフカディオ・ハーン
- 翻訳:
- 池田 雅之
- 出版:
- 角川書店
Feature :
-
text / photo :HAS Magazineは、旅と出会いを重ねながら世界中の美しい物語を紡ぐライフストーリーマガジン。 ひとつひとつの物語を通して、様々な人々の暮らしを灯してゆくことを目指しています。About : www.has-mag.jp/about