HAS Magazine
HAS Magazine
HAS Magazine
search
account
Share the Article
私の魂は永遠をおもひ 私の肉眼は万物に無限の価値を見る
高村光太郎
『智恵子抄』より
More Info
Artist
高村光太郎
高村 光太郎(たかむら こうたろう / 1883 - 1956年)は、東京都台東区出身の詩人・歌人・彫刻家・画家。
東京美術学校(東京藝術大学)卒業後、彫刻修業のためアメリカとヨーロッパへ渡る。
パリでロダンに出会い大きな影響を受け、日本を代表する彫刻家であり画家となったが生前に残した『道程』『智恵子抄』などの詩集が広く知られ、日本文学の近現代を代表する詩人として位置づけられている。
Refference
智恵子抄
  • 著者 高村光太郎
  • 出版 青空文庫
Share the Article
希望
土井 晩翠
『天地有情』より

沖の汐風吹きあれて
白波いたくほゆるとき、
夕月波にしづむとき、
黒暗くらやみよもを襲ふとき、
空のあなたにわが舟を
導く星の光あり。

ながき我世の夢さめて
むくろの土に返るとき、
心のなやみ終るとき、
罪のほだしの解くるとき、
墓のあなたに我たま
導びく神の御聲みこえあり。

嘆き、わづらひ、くるしみの
海にいのちの舟うけて
夢にも泣くか塵の子よ、
浮世の波の仇騷ぎ
雨風いかにあらぶとも
忍べ、とこよの花にほふ

港入江の春告げて、
流るゝ川に言葉あり、
燃ゆる焔に思想おもひあり、
空行く雲に啓示さとしあり、
夜半の嵐に諫誡いさめあり、
人の心に希望のぞみあり。

read more
More Info
Artist
土井 晩翠
土井 晩翠(どい ばんすい / 1871 - 1952年)は、宮城県仙台市出身の詩人・英文学者。
本名は、土井 林吉(つちい りんきち)。

裕福な商家に生まれ、幼少期より学問への強い興味を持っていたが、商人に学問は不要と祖父の強い反対を受け、当初は学問の道を諦め、家業を継ぐために働き始める。だが学問への想いは消えず、仕事の合間を縫い、独り学び続けた。
その熱意にほだされ、最終的に祖父も進学の道を認め、本格的に学問への道に進む。
その後、東京帝国大学英文科に進み、学業の傍らで様々な詩を発表する。

男性的な漢詩調の詩風で、女性的な詩風の島崎藤村と並んで「藤晩時代」と称された。
瀧廉太郎の作曲の「荒城の月」の作詞者としても知られ、校歌も数多く作詞した。
英文学者としは、ホメロス、カーライル、バイロンなどを翻訳。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。
Refference
天地有情
  • 著者 土井 晩翠
  • 出版 青空文庫
Share the Article
水のほとり
三富朽葉
『青空文庫』より

水のほとりにこぼれる
響ない真昼の樹魂こだま

物のおもひの降り注ぐ
はてしなさ。

充ちて消えゆく
もだしのこたへ。

水のほとりに生もなく死もなく、
声ない歌、
書かれぬ詩、
いづれかうるはしからぬ自らがあらう?

たまたま過ぎる人の姿、獣のかげ、
それは皆遠くへ行くのだ。

色、

光り、
永遠に続く中。

read more
More Info
Artist
三富朽葉
詩人。名は「きゅうよう」とも。早稲田大学英文科卒。1909(明治42)年、人見東明、加藤介春らとともに自由詩社をおこし、口語自由詩を唱道。機関誌の「自然と印象」、「早稲田文学」等に作品を発表。
1917(大正6)年、犬吠岬にて溺れた友人の今井白楊を助けようとし海に入るが、そのまま帰らぬ人となってしまう。享年27歳。あまりに早い最期だった。
Refference
青空文庫
  • 著者 三富朽葉
  • 出版 青空文庫
Share the Article
片町に更紗染めるや春の風
与謝蕪村
『郷愁の詩人 与謝蕪村』より
More Info
Artist
与謝蕪村
与謝 蕪村(よさ ぶそん / 1716 - 1784年)は、江戸時代中期の日本の俳人・文人画家。
現在の大阪郊外、淀川に近い村で生まれ、20歳前に江戸へ出ると、巴人(はじん)という俳人に師事して俳句を学び始める。
28歳の頃、俳号として「蕪村」を名乗り始め、松尾芭蕉への憧れから10年に近い放浪生活を重ね、42歳のときに京都へ定住した。
絵と俳句の両面で独自の世界観を描き出し、近代の俳人や詩人たちにも大きな影響を与えた。
Refference
郷愁の詩人 与謝蕪村
  • 編集 萩原朔太郎
  • 著作 与謝蕪村
  • 出版 青空文庫
Share the Article
歩み入る者にやすらぎを、去り行く人にしあわせを
東山魁夷
『追憶の古都』より
More Info
Artist
東山魁夷
この言葉は、日本を代表する風景画家・東山魁夷の残した画集「追憶の古都」に残されていた言葉。
この本は、東山魁夷がドイツやオーストリアの古い町並みを旅しながら、その旅の中で感じた想いを自らの絵と文章で綴った本。
本の冒頭に、この言葉は添えられています。
Refference
追憶の古都
  • 著者 東山魁夷
  • 出版 ビジョン企画出版社
Share the Article
Kie
Illuha
水面の光をすくい上げるように
More Info
水面の光をすくい上げるように

明け方のまだ淡い朝日に照らされた水面の光。
この音楽は、そんな朝の光に溶かされ、淡いオレンジの輝きに染まる水面をすくい上げるように紡がれた音響作品です。

「Shizuku」というアルバムの中に収められた一曲。
この曲は、東京を拠点に活動する音楽ユニットILLUHA イルハによって紡がれました。

アルバムの名前に付けられた「雫」という言葉。
この言葉が表すように、水と光が織りなす美しい雫のような時間を私たちの暮らしに届けてくれます。

Artist
Illuha
イルハは、アメリカ生まれ、日本育ちの Corey Fuller コリー・フラーとブラジル生まれ、日本育ちの伊達伯欣による、東京を拠点にする音楽ユニット。
アコースティック楽器の音色と電子楽器による音の響きを重ね合わせながら、柔らかで美しい音響世界を作り上げている。
Refference
Kie
  • ArtistIlluha
  • AlbumIlluha
Share the Article
野の羊へ
大手拓次
『藍色の蟇』より

野をひそひそとあゆんでゆく羊の群よ、
やさしげに湖上の夕月を眺めて
嘆息をもらすのは、
なんといふ瞑合(みょうごう)をわたしの心にもつてくるだろう。

紫の角を持つた羊のむれ、
跳ねよ、跳ねよ、
夕月はめぐみをこぼす……
わたし達すてられた魂のうへに。

read more
More Info
Artist
大手拓次
大手 拓次(おおてたくじ / 1887 - 1934年)は、群馬県出身の日本の詩人。
早稲田大学第三高等予科を経て、1907年9月、早稲田大学文学学術院英文科に入学。この頃より詩の発表を始める。
1916年にライオン歯磨本舗に就職。以後、生涯をサラリーマンと詩人の二重生活に捧げた。
生涯に書かれた詩作品は2400近くにのぼる。作品の発表を盛んに行っていたものの、生前に詩集が発刊されることはなかった。
Refference
藍色の蟇
  • 著者 大手拓次
  • 出版 青空文庫
Share the Article
The Isle
Valentin Silvestrov
静謐な祈りを描くように
More Info
静謐な祈りを描くように

この曲は、ウクライナ・キーウ出身の現代音楽・作曲家 Valentin Silvestrov (ヴァレンティン・シルヴェストロフ)によって紡がれました。
かつて彼は、前衛的な音楽作品を発表していたのですが、ある時期を境に、メロディを重んじた伝統的な作曲手法に回帰するようになりました。

「メロディとは音楽の宝石である。」
(ミュージック・レビュー・サイト『Mikiki』より引用)

これは、彼が過去に美しいメロディーへの想いを語った言葉。
前衛的な現代音楽から消えてしまった美しいメロディーを手繰り寄せるように紡がれた数々の作品の中には、過ぎ去りし日々への静かな祈りが流れているような気がします。

Artist
Valentin Silvestrov
1937年、ウクライナ・キーウ出身の現代音楽・作曲家、Valentin Silvestrov(ヴァレンティン・シルヴェストロフ)。
彼が音楽に目覚めたのは15歳と比較的遅く、当初は独学だったが、その後、キエフ夜間音楽学校でピアノを学ぶ。
ソ連支配下の60年代には、前衛的作品で西側から称賛を受けるも、ソ連当局からは冷遇され演奏機会に恵まれなかった。

70年代以降は、調性の破壊と言った前衛的な作曲手法から離れ、メロディーを重んじた伝統的な音楽と現代的な感覚を併せ持つ数々の作品を発表する。

同じく東欧にルーツを持つ、現代音楽を代表する二人の作曲家、アルフレッド・シュニトケとアルヴォ・ペルトをして「現代最高の作曲家のひとり」と称される音楽家である。
Refference
The Isle
  • ArtistValentin Silvestrov
  • AlbumValentin Silvestrov
Share the Article
詩は、光である、リズムである、感傷である。生命そのものである。
萩原 朔太郎
『散文詩・詩的散文』より
More Info
Artist
萩原 朔太郎
萩原 朔太郎(はぎわら さくたろう / 1886 - 1942年)は、群馬県前橋市出身の詩人。
1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立。1925年上京し、東京に定住。
大正時代に近代詩の新しい地平を拓き「日本近代詩の父」と称される。
詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。
Refference
散文詩・詩的散文
  • 著者 萩原 朔太郎
  • 出版 青空文庫
Share the Article
水汲み
田辺利宏
『きけ わだつみのこえ - 日本戦没学生の手記』より

はだしの少女は
髪に紅い野薔薇を挿し
夕日の坂を降りて来る。

石だたみの上に
少女の足は白くやわらかい。

夕餉の水を汲みに
彼女は城外の流れまでゆくのだ。

しずかな光のきらめく水をすくって
彼女はしばらく地平線の入日に見入る。

果てしもない緑の海の彼方に
彼女の幸福が消えてゆくように思う。

おおきな赤い大陸の太陽は
今日も五月の美しさを彼女に教えた。

揚柳の小枝に野鳩が鳴いている。
日が落ちても彼女はもう悲しまない。

太陽は明日を約束してわかれたからだ。
少女はしっかりと足を踏んで夕ぐれに忙しい城内の町へ
美しい水を湛えてかえってゆくのだ。

read more
More Info
Artist
田辺利宏
1915年5月19日生まれ。岡山県出身。
30年4月、上京して神田の帝国書院に勤めながら、法政大学商業学校に通う。
34年4月、商業学校を卒業し、日本大学予科文科に入学。
36年3月、同大学文学部文学科英文科進学、39年卒業。
39年9月、広島県福山市の増川高等女学校に勤め、英語と国語を教える。
39年12月、松江に入営。後中国各地を転戦。
41年8月24日、中国江蘇省北部にて戦死。享年26歳。
Refference
きけ わだつみのこえ - 日本戦没学生の手記
  • 編集 日本戦没学生記念会
  • 出版 岩波文庫
Share the Article
When We Fail
Grouper
朝靄に包まれるような美しさを
More Info
朝靄に包まれるような美しさを

木々の隙間から微かに零れる光が朝靄を静かに染める夜明け。
この音楽は、そんな美しい朝のひと時をすくい上げるように紡がれた一曲です。

この曲は、アメリカ・ポートランド出身の女性アーティスト Grouperの5作目となるアルバム「Dragging a Dead Deer up a Hill」の中に収録されています。

淡い光に包まれる、儚く美しい朝のひと時のような時間を私たちに届けてくれます。

Artist
Grouper
アメリカ・ポートランド出身の女性アーティスト、Liz Harris リズ・ハリス のソロ・プロジェクト Grouper。
空間を満たすサウンドスケープとシンプルなピアノの音色を背景に、ささやくような歌声を重ね合わせ、幻想的な世界観を生み出している。
また音楽のみならず、自らのアルバムジャケットのアートワークも手掛けるなど、音楽とアートの垣根を越えた表現を行う。
Refference
When We Fail
  • ArtistGrouper
  • AlbumGrouper
Share the Article
  • リンクをコピー
filter
share