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日が西に沈んでいく、
宵の明星が輝いている、
鳥は巣に戻って鳴きやみ、
私は自分の巣を探さなければならない。
花のような月は、
静かな光に包まれて、
天上高い四阿に座り、
夜にほほえみかけている。
さようなら、群れなす羊を楽しませていた
緑の野、しあわせな茂みよ。
小羊たちが草を食んでいた野山を
光の天使たちは静かに進む。
天使たちは目に見えぬかたちで
ひとつひとつの花と芽に
眠っているものの胸に
やすみなく祝福と歓びを注ぐ。
鳥たちを暖かくつつむ
無防備な巣をのぞき、
獣たちの住む洞穴をもれなく訪れる。
それらのものが傷つかぬように。
眠ることができなくて
泣いているものがあれば、
そのまぶたに眠りを注ぎこみ、
寝床のかたわらに座って見守る。
狼や虎が獲物をもとめて吠えるときには
憐れみのあまり立ち止まり泣く。
彼らの渇きをいやす道を探し求め
羊に手を出さないように導く。
しかし彼らが激しく猛り狂うときには
思慮深き者、天使たちは
従順な魂をひとつひとつ受け取り、
新しい世に送り出す。
そこでは、獅子たちの赤く燃える目も
黄金の涙を流す。
弱いものを憐れんで吠え、
羊たちの群のなかを歩きまわって言う。
怒りは彼のおだやかさによって
病は彼の健やかさによって
この不死の世界から
追い払われた
そして穏やかに鳴く羊よ、
これからはお前のかたわらに横たわり、
お前の名で呼ばれる方のことを思い、
お前を見守って泣く。
命の川で洗い清められた
私のたてがみは、
永遠に黄金のように光り輝く。
お前たちを守り続ける限り。
ブレイクは、ビジョンと呼ばれる幻視体験に基づいた特異な見解から同時代の人々からは狂人扱いされており、生前は詩人としては認められることはなく、一介の彫版師として生活した。
その後の批評家や読者からは、その表現力と創造性、そして作品内の哲学的・神秘主 義的な底流が高く評価されるようになり、ワーズ・ワース、コール・リッジらとともにイギリス・ロマン派の詩人の重要人物として知られている。
- 著者 ウィリアム・ブレイク
- 出版 青空文庫
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カナダ・モントリオールを拠点に活動するフォークシンガー兼プロデューサーのマーカス・ローリー(Marcus Lowry)による一曲。
「Rosie」と名付けられた、この曲は、マーカス・ローリーのデビューアルバムとなる 「Time, Time, Time」の中に収められています。
このアルバムがリリースされたのは、2023年9月。
僅か100部限定の自主リリースのレコードとして発表されました。
9曲の楽曲で構成され、まるで本のページをめくるように、喪失、叶わぬ夢、そして避けられない時の流れを語る、様々な物語が彼の優しい歌にのせて紡がれます。
「Rosie」は、このアルバムのはじまりの一曲。
この歌は、「ロージー」という一人の少女に捧げられた変わらぬ愛の想いが込められています。
それは、移ろいゆく時の流れの中で、決して変わることのない深い愛の物語。
人を愛することの儚さと美しさを教えてくれる一曲です。
今回は、英語の詞を稚拙ではありますが翻訳し、原文と併記するかたちで掲載させて頂きました。
紡がれる音楽だけでなく、その美しい詞の世界にも耳を澄ませながら、聴いてみて下さい。
きっとそれぞれの愛の物語が心の中で流れてゆくと思います。
「ロージー」 - この古い木の枝は、 私たち二人がぶら下がる場所だった そこで私たちは笑い、すべてを手に入れた しかし、ある日、私は見たんだ あの風が幾度も吹いてくることを そして、私は風に運ばれ落ちていった あの高い木の枝から 今、私は下にいるけれど 君が顔を赤らめ、成長するのを見るために、 今もここにいる この歌を歌うことを夢見てきた でも、私はもういない だから鳥たちは歌い続ける 愛しいロージー あなたはいつここに来るの? ロージー 愛しているよ 日は短くなり 夜は長くなる 今、大雨が降っているんだ 鳥はもう私たちの歌を歌わない 草が伸びて以来 草の葉が私を守ってくれる そして今、故郷のように感じる 時は流れ、私は老いてゆく 暗く寒くても 私は祈りながらここにいる いつかあなたが風に運ばれ落ちゆく時 あなたが私の道の上を転がってくれることを 願いながら 愛しいロージー あなたはいつ来るの? ロージー 愛しているよ (『Rosie / Marcus Lowry』より意訳) - 「Rosie」 - On a branch from this old tree A place where we'd hang across We'd laugh and have it all Although one day I did see That winds kept coming round And they made me fall From ten feet tall Now even though I'm down below I'm here to watch you blush and grow I've dreamt of singing you this song But now I'm gone And so the birds have to Keep singing on Rosie my dear When will you be here Rosie you know I love you so Days grow short and nights grow long Now heavy rains are falling Birds no longer sing our song And ever since the grass has grown Leaves have sheltered over me And now it feels like home Time goes by and I grow old And even though it's dark and cold I'll be here while I pray For you to fall one day And on that day I hope that You roll my way Rosie my dear When will you be here Rosie you know I love you so
幼少期から音楽に親しみ、フランスの作曲家ヴァンサン・ダンディの名を冠するカナダ・モントリオールの音楽学校「ヴァンサン・ダンディ音楽院」の初等科のヴァイオリン科を修了した後、10歳でヴァイオリンをギターに持ち替えることを決意。
その後、モントリオール大学でジャズ・パフォーマンスの学士号を取得して以降、様々な国内外のミュージシャンとしての共演しながら、シンガーソングライターとしての自身の音楽を育み続けている。
Mount Eerie マウント・イアリ や Tamas Wells タマズ・ウェルズといった穏やかで美しいフォークソングを歌うミュージシャンとも重なり合うような素晴らしい歌い手である。
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雲もまた自分のやうだ
自分のやうに
すつかり途方にくれてゐるのだ
あまりにあまりにひろすぎる
涯のない蒼空なので
おう老子よ
こんなときだ
にこにことして
ひよつこりとでてきませんか
本名、土田八九十(つちだ はくじゅう)。
1909年、人見東明から「静かな山村の夕暮れの空に飛んでいく鳥」という意味をこめ「山村暮鳥」の筆名をもらう。
築地の聖三一神学校時代に文学に開眼し、卒業後はキリスト教の伝道師として各地で布教活動をしながら詩を書き続け、数多くの作品を生み出した。
代表作は『聖三稜玻璃』(1915年)、『風は草木にささやいた』(1918年)、『雲』(1925年)など。
- 著者 山村暮鳥
- 出版 青空文庫
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内省的な深い青色によって描かれる数々の作品には、独自の静謐な世界観が流れている。日本のみならず欧州の様々な土地を訪れ、その経験を通して自らの感性を磨いていった遍歴の画家である。
- 著者 東山魁夷
- 出版 ビジョン企画出版社
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そのむかし、わたしの心にさわいだ野獣の嵐が、
初夏の日にひややかによみがへつてきた。
すべての空想のあたらしい核をもとめようとして南洋のながい髪をたれた女鳥のやうに、いたましいほどに狂ひみだれたそのときの一途の心がいまもまた、このおだやかな遊惰の日に法服をきた昔の知り人のやうにやつてきた。
なんといふあてもない寂しさだらう。
白磁の皿にもられたこのみのやうに人を魅する冷たい哀愁がながれでる。
わたしはまことに美の遊行者であつた。
苗床のなかにめぐむ憂ひの芽、望みの芽、
わたしのゆくみちには常にかなしい雨がふる。
早稲田大学第三高等予科を経て、1907年9月、早稲田大学文学学術院英文科に入学。この頃より詩の発表を始める。
1916年にライオン歯磨本舗に就職。以後、生涯をサラリーマンと詩人の二重生活に捧げた。
生涯に書かれた詩作品は2400近くにのぼる。作品の発表を盛んに行っていたものの、生前に詩集が発刊されることはなかった。
- 著者 大手拓次
- 出版 青空文庫
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心の嵐が今去つたところだ
熱い嵐の中で、つめたい心がこゞえて
獣になつて魂の野を
走りまはつてゐた。
火に烙かれながら、一つの氷が
曇り日の天に向つて叫んだ。
心の嵐が今去つたところだ。
疲れた氷の火が静かにとけて
秋の曇り日の天の下に
春のやうなひかりを感じる。
やつと見つけたお母さんの乳房に
泣きじやくりながら、かじりつく赤ん坊に
私のこゝろは似てゐると思ふ。
1924年3月東京帝国大学ドイツ文学科卒業、同年4月より法政大学予科ドイツ語専任教授となる。
戦前に渡欧し、スイスにロマン・ロランのもとを訪れ、大きな影響を受ける。
西欧の文学と芸術を深く愛し、ロマン・ロラン、ヘッセ、リルケ、ハイネ、ゲーテといった独仏文学の翻訳も数多く手掛けた。
- 出版 中央公論社
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1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立。1925年上京し、東京に定住。
大正時代に近代詩の新しい地平を拓き「日本近代詩の父」と称される。
詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。
- 著者 萩原 朔太郎
- 出版 青空文庫
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アメリカ・イリノイ州のChris Fraley (クリス・フレイリー)が手掛けるアンビエント・プロジェクトInnesti による一曲。
「Motes and Shadow」と名付けられた、この曲は「Formless」というアルバムの中に収められています。
アルバム名の「Formless」とは、「形のない・漠然とした」という意味を表す言葉。そして楽曲の「Motes and Shadow」とは、「ちりや微片と影」という意味を表しています。
そうした言葉が表すように、この楽曲には、どこか儚く掴みどころのない幽玄な世界観が流れています。
霧の中で美しい音色が響き渡るような幻想的な音楽は、聴く人を穏やかな時の彼方に運んでくれるのではないでしょうか。
1980年代にイギリスで設立された音楽レーベル・4ADの世界観を定義したThis Mortal Coilのような幽玄で優美なサウンドと現代のアンビエント・サウンドスケープを組み合わせた表現を指針とし制作を行っている。
淡い音のレイヤーが神秘的な世界観を紡ぎながら、ゆっくりと広がる彼女の音楽は、読書や夢想、瞑想の時間をより深い体験へと導いてゆくだろう。
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短い日照時間によって、長い暗闇に包まれる北欧の冬。
この音楽は、そんな冬の闇に暖かな光を灯すように紡がれたピアノ曲です。
彼の初となるピアノソロ・アルバム「Pinô」に収録された、アルバム名と同じ名前の一曲。
この曲は、ノルウェー出身の音楽家 Otto A Totland オット・A・トットランドによって生み出されました。
まるで穏やかな春の日を想わせる、どこか優しく、柔らかな温もりに包まれたこの曲は、北欧の長い冬の先にある微かな春の光を私たちに感じさせてくれます。
トラックメイキングから音楽制作を始め、その後ピアノでの作曲を行うようになる。
憂いを帯びた美しいサウンドスケープを描く「Deaf Center」のメンバーとしての音楽活動を経て、2014年に初のソロピアノ作品「Pino」を発表した。
ひとつひとつのピアノの音色を丁寧に紡ぐ、優しい音楽を紡いでいる。
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青々と澄み切った湖面を包むように流れる霧。
この音楽は、そんな霧に包まれた静かな湖面に朧げに射す朝の光のような美しさを湛えた音響作品です。
「Cendre」フランス語で「灰」という意味を持つ名前のアルバムに収録された一曲。
この曲は、オーストリア出身の音楽家 クリスチャン・フェネスと坂本龍一の二人のコラボレーションによって生まれました。
静かに、ささやくように紡がれる美しい響きが澄み切った静謐な時間を私たちの暮らしの中に届けてくれます。
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アメリカ合衆国サンフランシスコ州ロサンゼルスを拠点に活動する、アンビエント作家 marine eyes(マリーン・アイズ)こと、シンシア・バーナードによる一曲。
「what’s on the inside」と名付けられたこの曲は、彼女のアルバム「chamomile カモミール」の中に収められています。
アルバム名の「chamomile カモミール」とは、ハーブティーとしても良く用いられる植物の名前から付けられたもの。
仕事の合間に自らの記憶を手繰り寄せるように日記を書きながら、カモミールティーを飲む時間は、心を自らの中心に戻す大切な時間だと語っています。
彼女にとって「chamomile カモミール」とは落ち着きの象徴であり、自らの心の中に平穏を取り戻す力となるもの。
このアルバムには、彼女がカモミールティーを飲みながら、これまで綴った日記のページをめくるように、彼女の目にした様々な美しい風景が詰まっています。
楽曲のタイトル「what’s on the inside」とは、「心の内側では何が起きているの?」という意味。
朧げで美しい光に包まれるようなこの曲は、聴く人を遥か遠い記憶の彼方に導いてくれるような気がします。
柔らかな光に包まれる静かな朝、静まり返った真夜中に、ふと穏やかな記憶の灯を届けてくれる美しい一曲です。
幽玄で美しいヴォーカルとフィールド・レコーディングやギター、シンセサイザーを重ね合わせながら、温かく穏やかなサウンドスケープを描き出している。
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