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HAS Magazineは、メンバーシップにご登録頂いた皆様へお届けする様々な物語をご準備しています。ご利用スタイルに応じて、お選び頂ける各種プランがございます。
旅に出るように、まだ見ぬ美しい物語との出会いをお楽しみ下さい。

星降る夜空に In the starry night sky
HAS Magazineでは、読者の皆様に継続して美しい物語を届けるために、持続可能な独立したメディアの運営を指針とし、広告収益ではなく、メンバーシップを軸とした運営を行なっています。

私たちが目指しているのは、小さな星々の瞬きを紡ぐように、雑誌というメディアを育んでゆくこと。
こだわりの一杯の珈琲を届けるように、自らの感覚を大切に深めながら、ひとつひとつの物語を丁寧に紡ぎ、皆様のもとへと届けてゆく。

そして、それぞれの物語が読者の心を灯し、お読み頂く方々が一人、また一人と少しずつ増えてゆく。
それはまるで澄み切った夜空に、星々がひとつずつ瞬いてゆくように。

そうして散りばめられた星々の光を集め、また新たな光を物語に宿し、皆様のもとへと届けてゆく。
そんな風景が広がってゆくことを、私たちは想い描いています。

この取り組みは、とても時間のかかる方法かもしれません。
しかしだからこそ、読者の皆様と共に歩みながら、様々な想いを物語に重ねてゆくことが出来ると考えています。
そして、その歩みこそが多くの人々の心に響く物語を生む力になると。

私たちが目指すメディアの在り方は、以下のブランドブックにてお読み頂けます。
是非そちらも併せてご覧頂けますと幸いです。

この風景を描く旅は、きっと長い旅路になります。
読者の皆様とこの旅を共に出来ることを願っています。
無数に広がる物語が描く、星降る夜空に出会う旅へ。
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You can read about HAS Magazine's important values and goals in our brand book.
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2023.6.1
[ 後編 ]

ウィーンの鬼才画家
エゴン・シーレの物語

Egon Schiele's
Story
Egon Shiele's Story
後編
Egon Schiele's
Story

世紀末のオーストリアを狂おしいまでの情熱で駆け抜けるように生きた、夭折の天才画家 エゴン・シーレ。
彼の描いた時に異様さを伴うような、躍動的で美しい作品の数々は、今もなお多くの人々の心を捉え続けている。

そんな彼が描いた様々な作品の裏側に隠された、一人の画家の人生の物語を辿ってゆく、「ウィーンの鬼才画家 エゴン・シーレの物語」。

後編の題名は、「儚い光の先に」。
今回の物語では、様々な経験を経て、シーレが手にしたひとつの光と、その光の先に流れる物語を辿ってゆく。

後編
儚い光の先に
Fleeting
Light
Fleeting
Light
Two Girls lovers, 1911

ノイレングバッハ事件と投獄

ウィーンからノイレングバッハへの移住の時期と重なり合うように、シーレの被写体への興味は、大人のモデルから子供のモデルへと移り変わっていった。
それは、「永遠なる子供」と表現していた自分自身と向き合う中で生まれた、必然的な変化だったのかもしれない。

実際にシーレは、移住先で出会った子供たちをモデルにして、様々な絵を描いていった。
描かれる子供たちも、未知の世界から来た見聞ある大人に憧れを抱き、シーレが払えるだけのわずかな報酬にも喜んで応じ、子供たち自身も進んでモデルとなったという。

その光景は、決して後ろめたいものではなく、ほほえましく、無邪気なものであった。だが都会であるウィーンとは異なり、当時まだまだ閉鎖的であった田舎では、クルマウの時と同様に、その光景は受け入れ難いものであった。
事実、周囲のシーレに向けられる目は、非常に厳しいものであったという。

moa, 1911

そんな中、一つの大きな事件が起きる。
後に、ノイレングバッハ事件と言われる事件である。

当時、村に住む退役海軍将校の娘タナチアという少女がシーレに熱烈な憧れを募らせ、シーレに一方的に付きまとっていた。

そして、事件のきっかけとなる、1912年の春のある日。
タナチアは、突如として父親に家出をつげ、シーレと当時のパートナーがいた、村から遠く離れたアトリエに押しかけたのだ。
突然現れた少女に対し、追い返すことも出来ず、困り果てた二人は、仕方なく近くのホテルで三人で宿まり、翌日にタナチアを連れて、ノイレングバッハに引き返すことに。

Reference :

  • 「エゴン・シーレ 傷を負ったナルシス」
    著者:
    ジャン=ルイ・ガイユマン
    監修:
    千足伸行
    翻訳:
    遠藤ゆかり
    出版:
    創元社
  • 「エゴン・シーレ ドローイング 水彩画集」
    著者:
    ジェーン・カリアー
    翻訳・編集:
    和田京子
    出版:
    新潮社
Category :
  • text :
    HAS Magazine
    HAS Magazineは、旅と出会いを重ねながら、それぞれの光に出会う、ライフストーリーマガジン。 世界中の美しい物語を届けてゆくことで、一人一人の旅路を灯してゆくことを目指し、始まりました。
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