- リンクをコピー
- 記事はこちら
おまへのことでいっぱいだった 西風よ
たるんだ唄のうたいやまない 雨の昼に
とざした窓のうすあかりに
さびしい思ひを噛みながら
おぼえてゐた おののきも 震えも
あれは見知らないものたちだ……
夕ぐれごとに かがやいた方から吹いて来て
あれはもう たたまれて 心にかかってゐる
おまへのうたった とほい調べだ――
誰がそれを引き出すのだろう 誰が
それを忘れるのだろう……そうして
夕ぐれが夜に変るたび 雲は死に
そそがれて来る うすやみのなかに
おまへは 西風よ
みんななくしてしまった と
若干13歳にして自選の歌集や詩集をまとめ、第一高等学校在学中から堀辰雄と室生犀星に師事。
その後、東京帝国大学工学部建築学科に入学。同学部の1学年下には、丹下健三が在籍していた。
建築の分野でも際立った才能を発揮し、在学中に辰野金吾賞を3回受賞するなど将来を嘱望された。
さらに、詩の分野でも『萱草に寄す』と『曉と夕の詩』を立て続けに出版し、第1回中原中也賞を受賞するも結核を患い24歳という若さで帰らぬ人となる。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロットを拠点に活動する、シンガーソングライター / エミリー・セージ(Emily Sage)による一曲。
「Lumiére ルミエール」と名付けられた、この曲は、エミリー・セージのアルバム「The Sounds of Serenity Garden」の中に収められています。
「Lumiére」とは、フランス語で光を表す言葉。
そして、アルバム名に付けられた「Serenity Garden セレニティー・ガーデン=穏やかな庭」とは、シャーロットで開催される音楽フェスティバルに合わせ、2023年に都市の中に整備された新たな緑地の名前。
アルバム名の「The Sounds of Serenity Garden」は、そんな都市の中の緑地セレニティー・ガーデンの響きという意味を表しています。
その名前が語りかけるように、このアルバムのコンセプトは、音楽を通じて都会の喧騒の中で自然に出会うということ。
私たちが時間をかけて丁寧に耳を澄ませば、忙しない都会の中でさえも、いたるところに美と芸術があることを感じられるという彼女の想いが込められています。
ささやくように紡がれる彼女の幻想的な歌声は、耳にする人の暮らしの中に、穏やかな自然の光を灯してくれます。
子供時代をポルトガルで過ごし、伝統的なポルトガルの音楽ファドやノラ・ジョーンズ、アンドレア・ボチェッリ、クラシックなどを聴いて育つ。
大学進学に合わせて、アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルのベルモント大学でソングライティングと音楽ビジネスを学び、その後音楽活動の拠点として、ノースカロライナ州シャーロットに移住する。
ポルトガルの子供時代に育んだ感性を背景に紡がれる、ささやくような幻想的な歌声が印象的なシンガーである。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
雲もまた自分のやうだ
自分のやうに
すつかり途方にくれてゐるのだ
あまりにあまりにひろすぎる
涯のない蒼空なので
おう老子よ
こんなときだ
にこにことして
ひよつこりとでてきませんか
本名、土田八九十(つちだ はくじゅう)。
1909年、人見東明から「静かな山村の夕暮れの空に飛んでいく鳥」という意味をこめ「山村暮鳥」の筆名をもらう。
築地の聖三一神学校時代に文学に開眼し、卒業後はキリスト教の伝道師として各地で布教活動をしながら詩を書き続け、数多くの作品を生み出した。
代表作は『聖三稜玻璃』(1915年)、『風は草木にささやいた』(1918年)、『雲』(1925年)など。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
カナダ・モントリオールを拠点に活動するフォークシンガー兼プロデューサーのマーカス・ローリー(Marcus Lowry)による一曲。
「Rosie」と名付けられた、この曲は、マーカス・ローリーのデビューアルバムとなる 「Time, Time, Time」の中に収められています。
このアルバムがリリースされたのは、2023年9月。
僅か100部限定の自主リリースのレコードとして発表されました。
9曲の楽曲で構成され、まるで本のページをめくるように、喪失、叶わぬ夢、そして避けられない時の流れを語る、様々な物語が彼の優しい歌にのせて紡がれます。
「Rosie」は、このアルバムのはじまりの一曲。
この歌は、「ロージー」という一人の少女に捧げられた変わらぬ愛の想いが込められています。
それは、移ろいゆく時の流れの中で、決して変わることのない深い愛の物語。
人を愛することの儚さと美しさを教えてくれる一曲です。
今回は、英語の詞を稚拙ではありますが翻訳し、原文と併記するかたちで掲載させて頂きました。
紡がれる音楽だけでなく、その美しい詞の世界にも耳を澄ませながら、聴いてみて下さい。
きっとそれぞれの愛の物語が心の中で流れてゆくと思います。
「ロージー」 - この古い木の枝は、 私たち二人がぶら下がる場所だった そこで私たちは笑い、すべてを手に入れた しかし、ある日、私は見たんだ あの風が幾度も吹いてくることを そして、私は風に運ばれ落ちていった あの高い木の枝から 今、私は下にいるけれど 君が顔を赤らめ、成長するのを見るために、 今もここにいる この歌を歌うことを夢見てきた でも、私はもういない だから鳥たちは歌い続ける 愛しいロージー あなたはいつここに来るの? ロージー 愛しているよ 日は短くなり 夜は長くなる 今、大雨が降っているんだ 鳥はもう私たちの歌を歌わない 草が伸びて以来 草の葉が私を守ってくれる そして今、故郷のように感じる 時は流れ、私は老いてゆく 暗く寒くても 私は祈りながらここにいる いつかあなたが風に運ばれ落ちゆく時 あなたが私の道の上を転がってくれることを 願いながら 愛しいロージー あなたはいつ来るの? ロージー 愛しているよ (『Rosie / Marcus Lowry』より意訳) - 「Rosie」 - On a branch from this old tree A place where we'd hang across We'd laugh and have it all Although one day I did see That winds kept coming round And they made me fall From ten feet tall Now even though I'm down below I'm here to watch you blush and grow I've dreamt of singing you this song But now I'm gone And so the birds have to Keep singing on Rosie my dear When will you be here Rosie you know I love you so Days grow short and nights grow long Now heavy rains are falling Birds no longer sing our song And ever since the grass has grown Leaves have sheltered over me And now it feels like home Time goes by and I grow old And even though it's dark and cold I'll be here while I pray For you to fall one day And on that day I hope that You roll my way Rosie my dear When will you be here Rosie you know I love you so
幼少期から音楽に親しみ、フランスの作曲家ヴァンサン・ダンディの名を冠するカナダ・モントリオールの音楽学校「ヴァンサン・ダンディ音楽院」の初等科のヴァイオリン科を修了した後、10歳でヴァイオリンをギターに持ち替えることを決意。
その後、モントリオール大学でジャズ・パフォーマンスの学士号を取得して以降、様々な国内外のミュージシャンとしての共演しながら、シンガーソングライターとしての自身の音楽を育み続けている。
Mount Eerie マウント・イアリ や Tamas Wells タマズ・ウェルズといった穏やかで美しいフォークソングを歌うミュージシャンとも重なり合うような素晴らしい歌い手である。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
澄み切った水面に零れ落ちる光。
この曲は、そんな自然が描く束の間のひと時をすくい上げるように紡がれた楽曲です。
この曲は、カナダ・サスカチュワン州出身の女性アーティストCharlotte Oleena (シャルロット・オリーナ)によるソロ・ユニット、Sea Oleena (シー・オリーナ)によって紡がれました。
彼女が生まれたカナダ・サスカチュワン州は、広大な草原と十万を数える湖と川が流れ、果てしなく広がる青い空に包まれた雄大な自然が息づく土地。
まるで美しい自然のひと時を紡ぐような彼女の音楽は、そんな彼女の心の中に流れる心象風景を描いたものなのかもしれません。
子供時代にピアノ教室に通うも馴染まず、独学で作曲を始める。その後、偶然実家の空き部屋のベッドの下に、古いアコースティックを見つけたことがきっかけとなり、最初のセルフアルバムを完成する。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
夕影しづかに番の白鷺下り、
槇の葉枯れたる樹下の隠沼にて、
あこがれ歌ふよ。
『その昔、よろこび、そは朝明、光の揺籃に星と眠り、
悲しみ、汝こそとこしへ此処ここに朽ちて、
我が喰み啣める泥土と融とけ沈みぬ。』
愛の羽寄添ひ、青瞳うるむ見れば、
築地の草床、涙を我も垂れつ。
仰げば、夕空さびしき星めざめて、
しぬびの光よ、彩なき夢ゆめの如く、
ほそ糸ほのかに水底に鎖ひける。
哀歓かたみの輪廻は猶も堪へめ、
泥土に似る身ぞ。
ああさは我が隠沼、
かなしみ喰み去る鳥さへえこそ来めや。
啄木は雅号で、本名は石川 一(いしかわ はじめ)。
旧制盛岡中学校中退後、明治35(1902)年与謝野鉄幹の知遇を得て、『明星』に寄稿する浪漫主義詩人として頭角を現す。19歳の時に、処女作となる詩集『あこがれ』を刊行。
同時期に盛岡に帰郷し結婚するも、生活難のため母校の代用教員となる。
明治41(1908)年に上京、創作に没頭し小説を発表するが認められず、困窮の生活を送り、翌年に東京朝日新聞に就職。
明治43(1910)年に『一握の砂』を刊行、歌人としての地位を確立する。
また、同年に起きた幸徳事件(大逆事件)をきっかけに社会主義への関心を深め、文学評論も執筆したが、26歳の時に結核を患い帰らぬ人となる。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
ブレイクは、ビジョンと呼ばれる幻視体験に基づいた特異な見解から同時代の人々からは狂人扱いされており、生前は詩人としては認められることはなく、一介の彫版師として生活した。
その後の批評家や読者からは、その表現力と創造性、そして作品内の哲学的・神秘主 義的な底流が高く評価されるようになり、ワーズ・ワース、コール・リッジらとともにイギリス・ロマン派の詩人の重要人物として知られている。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
アメリカ・ポートランド出身の女性アーティスト Grouperと Inca Ore の Splitアルバムからの一曲。それぞれの繊細な歌声がレイヤーのように重なり合い、幽玄な時間を紡ぎ出す美しい一曲です。
空間を満たすサウンドスケープとシンプルなピアノの音色を背景に、ささやくような歌声を重ね合わせ、幻想的な世界観を生み出している。
また音楽のみならず、自らのアルバムジャケットのアートワークも手掛けるなど、音楽とアートの垣根を越えた表現を行う。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
青々と澄み切った湖面を包むように流れる霧。
この音楽は、そんな霧に包まれた静かな湖面に朧げに射す朝の光のような美しさを湛えた音響作品です。
「Cendre」フランス語で「灰」という意味を持つ名前のアルバムに収録された一曲。
この曲は、オーストリア出身の音楽家 クリスチャン・フェネスと坂本龍一の二人のコラボレーションによって生まれました。
静かに、ささやくように紡がれる美しい響きが澄み切った静謐な時間を私たちの暮らしの中に届けてくれます。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
澄み渡る空気と沈黙に包まれた静かな夜のひと時。 この音楽は、そんな静謐な時の中で、まるで水面に一滴の水が落とされるように紡がれたピアノ曲です。
「The Malady of Elegance」と名付けられたアルバムに収録された一曲。 この曲は、アメリカ・ペンシルベニア州出身の音楽家 キース・ケニフによるプロジェクト Goldmundの楽曲として紡がれました。
沈黙に捧げられるように静か紡がれるピアノの響きが静寂の中にある美しさを私たちに教えてくれます。
彼の音楽表現は多岐に渡り、表現するジャンル毎に、Helios/Mint Julep/Keith Kenniffといった多様な名義を使い分け、様々作品を発表し続けている。
Goldmundという名義では、主にピアノを用い、空間を静かに響かせるような美しい音楽を制作している。
- リンクをコピー
- 記事はこちら
アメリカ・ニューヨーク生まれの伝説的なフォークシンガー、ピート・シーガーが残したアルバム『Pete』に収められた一曲。
この『The Water is Wide(広い河の岸辺)』という曲は、作者不詳の民謡として知られ、その起源はスコットランドにあると伝えられています。
その後、イギリスからアメリカに移住した移民によってアメリカに伝えられ、フォーク・リヴァイヴァリストとしてウディ・ガスリーと共に数々の民謡を収集していた、ピート・シーガーの手によって現代のフォークソングとして新たな命を吹き込まれ、多くのアメリカ人に知られてゆくことになりました。
ピート・シーガーは生前、あくまで自分自身はフォークソングを歌うシンガーの一人であって、真のフォーク・シンガーは民衆であると語っていました。
彼が奏でるギターに合わせ、多くの人々が主役となり合唱するこの曲は、まさにそんな彼の哲学を表現している一曲とも言えるかもしれません。
多くの人々が共に歌うことで、はじめて顕れる音楽の美しさ。
この曲は、かつて当たり前のように暮らしの中に音楽があり、誰もが歌い手であった、そんな古の人々の暮らしを思い起こさせてくれる一曲です。
歌い継がれる民謡の中に確かに息づく、かつての人々の暮らしに想いを馳せながら、耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
ハーバード大学中退後に本格的な音楽活動を始め、黒人差別への抗議や反戦などの政治的な抗議メッセージを込めたプロテスト・フォークの旗手として注目を集める。
またアメリカ各地に残された民謡を収集するためアメリカ全土を放浪するなど、フォーク・リヴァイヴァリストとしての一面を持つ。
アメリカの現代フォークを代表する伝説的なフォークシンガーとして語り継がれ、フォークの神様とも称される音楽家ボブ・ディランにも多大な影響を与えた。
- リンクをコピー