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HAS Magazineは、メンバーシップにご登録頂いた皆様へお届けする様々な物語をご準備しています。ご利用スタイルに応じて、お選び頂ける各種プランがございます。
旅に出るように、まだ見ぬ美しい物語との出会いをお楽しみ下さい。

星降る夜空に In the starry night sky
HAS Magazineでは、読者の皆様に継続して美しい物語を届けるために、持続可能な独立したメディアの運営を指針とし、広告収益ではなく、メンバーシップを軸とした運営を行なっています。

私たちが目指しているのは、小さな星々の瞬きを紡ぐように、雑誌というメディアを育んでゆくこと。
こだわりの一杯の珈琲を届けるように、自らの感覚を大切に深めながら、ひとつひとつの物語を丁寧に紡ぎ、皆様のもとへと届けてゆく。

そして、それぞれの物語が読者の心を灯し、お読み頂く方々が一人、また一人と少しずつ増えてゆく。
それはまるで澄み切った夜空に、星々がひとつずつ瞬いてゆくように。

そうして散りばめられた星々の光を集め、また新たな光を物語に宿し、皆様のもとへと届けてゆく。
そんな風景が広がってゆくことを、私たちは想い描いています。

この取り組みは、とても時間のかかる方法かもしれません。
しかしだからこそ、読者の皆様と共に歩みながら、様々な想いを物語に重ねることが出来ると考えています。
そして、その歩みこそが多くの人々の心に響く物語を生む力になると。

私たちが目指すメディアの在り方は、以下のブランドブックにてお読み頂けます。
是非そちらも併せてご覧頂けますと幸いです。

この風景を描く旅は、きっと長い旅路になります。
読者の皆様とこの旅を共に出来ることを願っています。
無数に広がる物語が描く、星降る夜空に出会う旅へ。
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You can read about HAS Magazine's important values and goals in our brand book.
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2021.5.6

[ 寺院 ]
奈良・唐招提寺
Toshodaiji Temple

遥かなる旅路が宿る

    

奈良の西、秋篠川のせせらぎが響く、木々に囲まれた静かな寺院、唐招提寺。
創建は、今から遡ること1200年ほど前。
仏教伝来のため、中国の地から幾度もの苦難を乗り越え、日本の地に辿り着いた鑑真和上によって開かれた。

来日後、奈良・東大寺で5年を過ごし、朝廷より旧宅を賜った鑑真和上は、この場所を「唐招提寺」と名づけ、仏教の戒律を学ぶ人のための道場を開いた。
晩年の5年をこの地で過ごし、日本人の弟子を集め、自らの手で多くの僧を熱心に育てたと伝えられる。
日本の本格的な仏教の始まりの記憶に触れることの出来る寺院である。

名前に込められた想い

寺院の名称の「招提」という言葉は、古代語の一つであるサンスクリット語で「四方僧伽(しほうそうぎゃ)」という意味を表す「チャートゥルディシャ・サンガ」という言葉が由来となった。

「四方僧伽」とは、仏教の開祖である釈迦が唱えた、全ての仏教徒たちへの想いが込められた言葉。
僧の集まりとは、教団の垣根を越えて世界中の人々が手を取り合い、和合するための集い(サンガ)であるという想い。
釈迦のまなざしの先にあった、真理に根差した平和への想いが込められた言葉であったのだ。

そのサンスクリット語の「チャートゥルディシャ・サンガ」の音の響きを日本語で写し、付けられたのが「招提」という名前であった。
その言葉を名づけた鑑真和上の心の中には、遥かな未来を見据えた平和への想いが込められていたのではないだろうか。

世界を照らす祈り

寺院の門をくぐると、目の前には真っ直ぐに開かれた、長い参道が広がる。
その参道の先には、唐招提寺の中心となる建造物「金堂」が建っている。
ギリシアのパルテノン神殿とも並び称される、美しい円柱に支えられた「金堂」は、寺院建築の傑作とも謳われる建造物だ。

その中には、三つの大きな仏像が収められ、中央には「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」と言われる仏像が鎮座する。
不思議な響きを持つ、この仏像の名前は、サンスクリット語「ヴァイローチャナ」という言葉の響きを日本語で表した「毘盧遮那(びるしゃな)」という言葉が由来になった。

「毘盧遮那(びるしゃな)」とは、太陽を意味する言葉。
その名の通り、太陽のように世界の隅々まで人々を照らし、真理へと導いてゆくという想いが込められた仏像である。
宇宙そのものを表現した途方もない存在として、宇宙仏とも言われているのだ。

「招提」という言葉に込められた平和への想い、そして寺院の中心から世界を照らす途方もない祈りが込められた「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」。
唐招提寺には、時を越え、真理へと至る記憶が今も変わることなく残されているのだ。

Reference :

  • 「鑑真」
    著者:
    安藤更生
    出版:
    吉川弘文館
  • 「唐招提寺への道」
    著者:
    東山魁夷
    出版:
    新潮社
  • 「天平の甍」
    著者:
    井上靖
    出版:
    新潮社
Category :
  • Text / Photo :
    HAS
    HASは、多様な美しい物語を通して「物語のある暮らしを提案する」ライフストーリーブランド。 ライフストーリーマガジン「HAS Magazine」、クリエイティブスタジオ「HAS Couture」を手掛ける。

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