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2021.5.6

ある旅の終焉の地
奈良・唐招提寺 Toshodaiji Temple

奈良の西に静かに佇む寺院

奈良の西、秋篠川のせせらぎが聞こえる、森に囲まれた静かな寺院がある。
その寺院の名は、唐招提寺。

今から遡ること千年ほど前、かつてこの場所にあった一軒の邸宅に、一人の僧侶がこの寺院を創建した。
その僧侶の名は、鑑真和上。
仏法の伝来のため、遥か遠く中国の地から日本の地に足を踏み入れた僧侶だ。

鑑真和上は、日本からの使者による招聘を受け、当時、まだまだ発展途上であった日本の仏教を正しい道に導く為に、渡日を決意。
しかし、その渡航は困難を極め、渡日を実現するために、5回の渡航に失敗。結果的に約12年の月日を要した。
またその旅の途中で、視力を失い、日本の地にたどり着いた時には、完全に失明してしまっていたという。

その後、日本の地に辿り着いた鑑真は、仏法伝来の本願を果たすため、たゆむことなく歩み続けた。
政治への関わりにも興味を示すことなく、ただただ一途に戒律の伝授に務めたという。そして、五年の歳月が過ぎた時、ようやく長い旅路の終焉の地として辿り着いたのが、この唐招提寺であった。

千年もの時を越え、今なお多くの人々を惹きつけてやまない、唐招提寺。
この場所には、鑑真和上が辿った長い旅の物語が消えることなく今なお息づいている。

Reference :

  • 「鑑真」
    著者:
    安藤更生
    出版:
    吉川弘文館
  • 「唐招提寺への道」
    著者:
    東山魁夷
    出版:
    新潮社
  • 「天平の甍」
    著者:
    井上靖
    出版:
    新潮社
  • Text / Photo :
    HAS
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