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夜になれば星あらはれて 晝(ひる)になれば星消え去りて 月日うつり行く
長塚節
『長塚節歌集』より
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長塚節
長塚 節(ながつか たかし/1879 - 1915年)は、茨城県出身の歌人、小説家。
中学校2年生の学年試験では、平均84点で102人中3番の成績だったが、3年生の頃から不眠症の徴候があり、4年生進級後も回復しないため退学し、自然に触れながら療養生活の中で短歌に親しんだ。
正岡子規の『歌よみに与ふる書』に深い感銘を受け、1900年に入門。ひたすら子規の写生の風を摂取、子規短歌の最も正当な継承者と言われた。
32歳の時に喉頭結核の診断を下され、各地の病院で治療に努めながら、日本を旅して231首の短歌を発表するも、その4年後の
1915年の2月8日に、福岡県の九州帝国大学医科大学(現九州大学医学部)付属病院で36歳の若さで亡くなった。
Refference
長塚節歌集

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  • 著者 長塚 節

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  • 出版 青空文庫

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Rosie
Marcus Lowry
変わらぬ愛を詠う歌
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変わらぬ愛を詠う歌

カナダ・モントリオールを拠点に活動するフォークシンガー兼プロデューサーのマーカス・ローリー(Marcus Lowry)による一曲。

「Rosie」と名付けられた、この曲は、マーカス・ローリーのデビューアルバムとなる 「Time, Time, Time」の中に収められています。
このアルバムがリリースされたのは、2023年9月。
僅か100部限定の自主リリースのレコードとして発表されました。

9曲の楽曲で構成され、まるで本のページをめくるように、喪失、叶わぬ夢、そして避けられない時の流れを語る、様々な物語が彼の優しい歌にのせて紡がれます。

「Rosie」は、このアルバムのはじまりの一曲。
この歌は、「ロージー」という一人の少女に捧げられた変わらぬ愛の想いが込められています。

それは、移ろいゆく時の流れの中で、決して変わることのない深い愛の物語。
人を愛することの儚さと美しさを教えてくれる一曲です。

今回は、英語の詞を稚拙ではありますが翻訳し、原文と併記するかたちで掲載させて頂きました。
紡がれる音楽だけでなく、その美しい詞の世界にも耳を澄ませながら、聴いてみて下さい。

きっとそれぞれの愛の物語が心の中で流れてゆくと思います。

「ロージー」
-
この古い木の枝は、
私たち二人がぶら下がる場所だった
そこで私たちは笑い、すべてを手に入れた
しかし、ある日、私は見たんだ
あの風が幾度も吹いてくることを
そして、私は風に運ばれ落ちていった
あの高い木の枝から

今、私は下にいるけれど
君が顔を赤らめ、成長するのを見るために、
今もここにいる
この歌を歌うことを夢見てきた
でも、私はもういない
だから鳥たちは歌い続ける

愛しいロージー
あなたはいつここに来るの?
ロージー
愛しているよ

日は短くなり 夜は長くなる
今、大雨が降っているんだ
鳥はもう私たちの歌を歌わない
草が伸びて以来
草の葉が私を守ってくれる
そして今、故郷のように感じる

時は流れ、私は老いてゆく
暗く寒くても
私は祈りながらここにいる
いつかあなたが風に運ばれ落ちゆく時
あなたが私の道の上を転がってくれることを
願いながら

愛しいロージー
あなたはいつ来るの?
ロージー
愛しているよ
(『Rosie / Marcus Lowry』より意訳)

-
「Rosie」
-
On a branch from this old tree
A place where we'd hang across
We'd laugh and have it all
Although one day I did see
That winds kept coming round
And they made me fall
From ten feet tall

Now even though I'm down below
I'm here to watch you blush and grow
I've dreamt of singing you this song
But now I'm gone
And so the birds have to
Keep singing on

Rosie my dear
When will you be here
Rosie you know
I love you so

Days grow short and nights grow long
Now heavy rains are falling
Birds no longer sing our song
And ever since the grass has grown
Leaves have sheltered over me
And now it feels like home

Time goes by and I grow old
And even though it's dark and cold
I'll be here while I pray
For you to fall one day
And on that day I hope that
You roll my way

Rosie my dear
When will you be here
Rosie you know
I love you so
Artist
Marcus Lowry
Marcus Lowry マーカス・ローリーは、カナダ・モントリオールを拠点に活動する、フォークシンガー兼プロデューサー。
幼少期から音楽に親しみ、フランスの作曲家ヴァンサン・ダンディの名を冠するカナダ・モントリオールの音楽学校「ヴァンサン・ダンディ音楽院」の初等科のヴァイオリン科を修了した後、10歳でヴァイオリンをギターに持ち替えることを決意。

その後、モントリオール大学でジャズ・パフォーマンスの学士号を取得して以降、様々な国内外のミュージシャンとしての共演しながら、シンガーソングライターとしての自身の音楽を育み続けている。
Mount Eerie マウント・イアリ や Tamas Wells タマズ・ウェルズといった穏やかで美しいフォークソングを歌うミュージシャンとも重なり合うような素晴らしい歌い手である。
Refference
Rosie
  • ArtistMarcus Lowry
  • AlbumMarcus Lowry
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おそれ
高村光太郎
『智恵子抄』より

いけない、いけない
静かにしてゐる此の水に手を触れてはいけない
まして石を投げ込んではいけない
一滴の水の微顫ふるえも
無益な千万の波動をつひやすのだ
水の静けさを貴んで
静寂の価あたひを量らなければいけない

あなたは其のさきを私に話してはいけない
あなたの今言はうとしてゐる事は世の中の最大危険の一つだ
口から外へ出さなければいい
出せば則すなはち雷火である

あなたは女だ
男のやうだと言はれても矢張女だ
あの蒼黒い空に汗ばんでゐる円い月だ
世界を夢に導き、刹那を永遠に置きかへようとする月だ

それでいい、それでいい
その夢を現うつつにかへし
永遠を刹那にふり戻してはいけない
その上
この澄みきつた水の中へ
そんなあぶないものを投げ込んではいけない

私の心の静寂は血で買つた宝である
あなたには解りやうのない血を犠牲にした宝である
この静寂は私の生命いのちであり
この静寂は私の神である
しかも気むつかしい神である
夏の夜の食慾にさへも
尚ほ烈しい擾乱じようらんを惹き起すのである
あなたはその一点に手を触れようとするのか

いけない、いけない
あなたは静寂の価を量らなければいけない
さもなければ
非常な覚悟をしてかからなければいけない
その一個の石の起す波動は
あなたを襲つてあなたをその渦中に捲き込むかもしれない
百千倍の打撃をあなたに与へるかも知れない

あなたは女だ
これに堪へられるだけの力を作らなければならない
それが出来ようか
あなたは其のさきを私に話してはいけない
いけない、いけない

御覧なさい
煤烟ばいえんと油じみの停車場も
今は此の月と少し暑くるしい靄もやとの中に
何か偉大な美を包んでゐる宝蔵のやうに見えるではないか
あの青と赤とのシグナルの明りは
無言と送目との間に絶大な役目を果たし
はるかに月夜の情調に歌をあはせてゐる

私は今何かに囲まれてゐる
或る雰囲気に
或る不思議な調節を司つかさどる無形な力に
そして最も貴重な平衡を得てゐる
私の魂は永遠をおもひ
私の肉眼は万物に無限の価値を見る
しづかに、しづかに
私は今或る力に絶えず触れながら
言葉を忘れてゐる

いけない、いけない
静かにしてゐる此の水に手を触れてはいけない
まして石を投げ込んではいけない

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Artist
高村光太郎
高村 光太郎(たかむら こうたろう / 1883 - 1956年)は、東京都台東区出身の詩人・歌人・彫刻家・画家。
東京美術学校(東京藝術大学)卒業後、彫刻修業のためアメリカとヨーロッパへ渡る。
パリでロダンに出会い大きな影響を受け、日本を代表する彫刻家であり画家となったが生前に残した『道程』『智恵子抄』などの詩集が広く知られ、日本文学の近現代を代表する詩人として位置づけられている。
Refference
智恵子抄

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  • 著者 高村光太郎

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  • 出版 青空文庫

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隠沼
石川啄木
『詩』より

夕影しづかに番つがひの白鷺しらさぎ下り、
槇の葉枯れたる樹下こしたの隠沼こもりぬにて、
あこがれ歌ふよ。

『その昔、よろこび、そは朝明、光の揺籃ゆりごに星と眠り、
悲しみ、汝こそとこしへ此処ここに朽ちて、
我が喰はみ啣ふくめる泥土ひづちと融とけ沈みぬ。』

愛の羽寄添ひ、青瞳うるむ見れば、
築地ついぢの草床、涙を我も垂れつ。

仰げば、夕空さびしき星めざめて、
しぬびの光よ、彩なき夢ゆめの如く、
ほそ糸ほのかに水底に鎖ひける。

哀歓かたみの輪廻めぐりは猶なほも堪こらへめ、
泥土ひづちに似る身ぞ。

ああさは我が隠沼こもりぬ、
かなしみ喰はみ去る鳥さへえこそ来めや。

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Artist
石川啄木
石川 啄木(いしかわ たくぼく / 1886 - 1912年)は、岩手県出身の詩人。
啄木は雅号で、本名は石川 一(いしかわ はじめ)。
旧制盛岡中学校中退後、明治35(1902)年与謝野鉄幹の知遇を得て、『明星』に寄稿する浪漫主義詩人として頭角を現す。19歳の時に、処女作となる詩集『あこがれ』を刊行。
同時期に盛岡に帰郷し結婚するも、生活難のため母校の代用教員となる。
明治41(1908)年に上京、創作に没頭し小説を発表するが認められず、困窮の生活を送り、翌年に東京朝日新聞に就職。
明治43(1910)年に『一握の砂』を刊行、歌人としての地位を確立する。
また、同年に起きた幸徳事件(大逆事件)をきっかけに社会主義への関心を深め、文学評論も執筆したが、26歳の時に結核を患い帰らぬ人となる。
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詩

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  • 著者 石川啄木

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  • 出版 青空文庫

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The Moon Is a Harsh Mistress
Radka Toneff
澄み切った月の光のように
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澄み切った月の光のように

月の光に照らし出された夜のひと時。 淡い月の光が描く、どこか神秘的な世界。 この音楽は、そんな美しい月の光に寄り添うような一曲です。

「Fairytales」と名付けられたアルバムに収録された一曲。 この曲は、わずか30歳の若さでこの世を去ったノルウェー出身のジャズ・シンガー Radoka Toneff ラドカ・トネフによって紡がれました。

柔らかな月の光が辺りを包み、幻想的な時間が流れ出すように、神秘的で穏やかな美しさを暮らしの中に届けてくれます。

Artist
Radka Toneff
ラドカ・トネフ(1952年6月25日-1982年10月21日)は、ノルウェー出身のジャズ・シンガー。
わずか3枚のアルバムを残し、30歳の若さでこの世を去る。哀しくも彼女にとって最後のアルバムとなった『Fairytales』は、発売後10万枚以上の売上を記録し、ノルウェーのジャズ・アルバムで最も売れた作品となる。
名実ともにノルウェーのジャズシーンを代表する伝説的なシンガーの一人である。
Refference
The Moon Is a Harsh Mistress
  • ArtistRadka Toneff
  • AlbumRadka Toneff
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水汲み
田辺利宏
『きけ わだつみのこえ - 日本戦没学生の手記』より

はだしの少女は
髪に紅い野薔薇を挿し
夕日の坂を降りて来る。

石だたみの上に
少女の足は白くやわらかい。

夕餉の水を汲みに
彼女は城外の流れまでゆくのだ。

しずかな光のきらめく水をすくって
彼女はしばらく地平線の入日に見入る。

果てしもない緑の海の彼方に
彼女の幸福が消えてゆくように思う。

おおきな赤い大陸の太陽は
今日も五月の美しさを彼女に教えた。

揚柳の小枝に野鳩が鳴いている。
日が落ちても彼女はもう悲しまない。

太陽は明日を約束してわかれたからだ。
少女はしっかりと足を踏んで夕ぐれに忙しい城内の町へ
美しい水を湛えてかえってゆくのだ。

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Artist
田辺利宏
1915年5月19日生まれ。岡山県出身。
30年4月、上京して神田の帝国書院に勤めながら、法政大学商業学校に通う。
34年4月、商業学校を卒業し、日本大学予科文科に入学。
36年3月、同大学文学部文学科英文科進学、39年卒業。
39年9月、広島県福山市の増川高等女学校に勤め、英語と国語を教える。
39年12月、松江に入営。後中国各地を転戦。
41年8月24日、中国江蘇省北部にて戦死。享年26歳。
Refference
きけ わだつみのこえ - 日本戦没学生の手記

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  • 編集 日本戦没学生記念会

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  • 出版 岩波文庫

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Will I Know
Sea Oleena
透明な光をすくうように
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透明な光をすくうように

澄み切った水面に零れ落ちる光。
この曲は、そんな自然が描く束の間のひと時をすくい上げるように紡がれた楽曲です。

この曲は、カナダ・サスカチュワン州出身の女性アーティストCharlotte Oleena (シャルロット・オリーナ)によるソロ・ユニット、Sea Oleena (シー・オリーナ)によって紡がれました。

彼女が生まれたカナダ・サスカチュワン州は、広大な草原と十万を数える湖と川が流れ、果てしなく広がる青い空に包まれた雄大な自然が息づく土地。
まるで美しい自然のひと時を紡ぐような彼女の音楽は、そんな彼女の心の中に流れる心象風景を描いたものなのかもしれません。

Artist
Sea Oleena
カナダ・モントリオール在住の女性アーティスト、ヴォーカリスト/多楽器奏者のCharlotte Oleena (シャルロット・オリーナ)によるソロ・ユニットSea Oleena (シー・オリーナ)。

子供時代にピアノ教室に通うも馴染まず、独学で作曲を始める。その後、偶然実家の空き部屋のベッドの下に、古いアコースティックを見つけたことがきっかけとなり、最初のセルフアルバムを完成する。
Refference
Will I Know
  • ArtistSea Oleena
  • AlbumSea Oleena
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Haru Spring
Harold Budd
響き渡る水の音のように
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響き渡る水の音のように

滴り落ちる水が反響し、美しい水音となって響き渡る。
この音楽は、まるで日本庭園の中にある水琴窟が奏でる音色のように、捉えどころのない自由な響きを紡ぐピアノ曲です。

「In The Mist」という名のアルバムに収められた一曲。
この曲は、アメリカの作曲家であり、ピアニストのハロルド・バッドによって紡がれました。

ささやくように揺らぐピアノの音色が穏やかな静寂を暮らしの中に届けてくれます。

Artist
Harold Budd
ハロルド・バッド (1936年5月24日 - 2020年12月8日)は、アメリカ合衆国の作曲家であり、ピアニスト。
カリフォルニア大学ノースリッジ校で学士号を取得するもミニマリズムと前衛音楽に自らの限界を感じ、一時作曲活動を休止。
その後、ブライアン・イーノのプロデュースのもと、再デビュー・アルバムをリリース。
「作曲とは無駄なものを取り除いていくこと」という理念をもとに、ラディカル・シンプリシティをテーマに独自のアンビエント・ミュージックのスタイルを追究した。
Refference
Haru Spring
  • ArtistHarold Budd
  • AlbumHarold Budd
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雲
山村暮鳥
『雲』より

雲もまた自分のやうだ
自分のやうに
すつかり途方にくれてゐるのだ

あまりにあまりにひろすぎる
涯はてのない蒼空なので

おう老子よ
こんなときだ

にこにことして
ひよつこりとでてきませんか

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Artist
山村暮鳥
山村 暮鳥(やまむら ぼちょう / 1884 - 1924年)は、山村暮鳥は明治から大正にかけて活躍した現在の高崎市出身の詩人・児童文学者。
本名、土田八九十(つちだ はくじゅう)。
1909年、人見東明から「静かな山村の夕暮れの空に飛んでいく鳥」という意味をこめ「山村暮鳥」の筆名をもらう。
築地の聖三一神学校時代に文学に開眼し、卒業後はキリスト教の伝道師として各地で布教活動をしながら詩を書き続け、数多くの作品を生み出した。
代表作は『聖三稜玻璃』(1915年)、『風は草木にささやいた』(1918年)、『雲』(1925年)など。
Refference
雲

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  • 著者 山村暮鳥

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  • 出版 青空文庫

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煙草は私の旅びとである
尾形亀之助
『色ガラスの街』より

朝早くから雨が降つてゐた
そして 暗い日暮れに風が吹いて流れ
雨にとけこむ日暮れを泥ぶかい沼の底の魚のやうに
私と私の妻がゐる 私は二階の書斎に 妻は台所にゐる

これは人のゐない街だ
一人の人もゐない、犬も通らない丁度ま夜中の街をそのままもつて来たやうな気味のわるい街です
街路樹も緑色ではなく
敷石も古るぼけて霧のやうなものにさへぎられてゐる
どことなく顔のやうな街です

風も雨も陽も
ひよつとすると空もない平らな腐れた花の匂ひのする街です
何時頃から人が居なくなつたのか
何故居なくなつたのか
少しもわからない街です

それは
「こんにちは」とも言はずに私の前を通つてゆく
私の旅びとである

そして
私の退屈を淋しがらせるのです

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Artist
尾形亀之助
尾形 亀之助(おがた かめのすけ/1900 - 1942年)は、宮城県出身の詩人。
裕福な実家に生まれ、画家を目指して上京、モダニズム絵画「化粧」を発表し、日本のダダイスムの先駆をなす、大正デモクラシーの動向を受けて誕生した前衛美術グループ「MAVO:マヴォ」の初期メンバーとして注目を浴びた。
しかし、2年あまりで美術界を去り、詩作に専念、詩人に転身する。
生涯にわたってほぼ定職を持たず実家からの仕送りで生活し、詩に没頭するという無頼の人生を送った。
Refference
色ガラスの街

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  • 著者 尾形亀之助

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  • 出版 青空出版

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或る風に寄せて
立原道造
『暁と夕の詩』より

おまへのことでいっぱいだった 西風よ
たるんだ唄のうたいやまない 雨の昼に
とざした窓のうすあかりに
さびしい思ひを噛みながら

おぼえてゐた おののきも 震えも
あれは見知らないものたちだ……
夕ぐれごとに かがやいた方から吹いて来て
あれはもう たたまれて 心にかかってゐる

おまへのうたった とほい調べだ――
誰がそれを引き出すのだろう 誰が
それを忘れるのだろう……そうして

夕ぐれが夜に変るたび 雲は死に
そそがれて来る うすやみのなかに
おまへは 西風よ
みんななくしてしまった と

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Artist
立原道造
立原 道造(たちはら みちぞう / 1914 - 1939年 )は、東京都中央区出身の詩人であり、建築家としての足跡も残した。
若干13歳にして自選の歌集や詩集をまとめ、第一高等学校在学中から堀辰雄と室生犀星に師事。
その後、東京帝国大学工学部建築学科に入学。同学部の1学年下には、丹下健三が在籍していた。
建築の分野でも際立った才能を発揮し、在学中に辰野金吾賞を3回受賞するなど将来を嘱望された。
さらに、詩の分野でも『萱草に寄す』と『曉と夕の詩』を立て続けに出版し、第1回中原中也賞を受賞するも結核を患い24歳という若さで帰らぬ人となる。
Refference
暁と夕の詩

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  • 著者 立原道造

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  • 出版 青空文庫

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