暮らしを深める灯り
flameと北欧の窓辺
flameと北欧の窓辺

静かに時を刻む、照明メーカー「flame フレイム」。
flameが生み出す灯りは、どれもさりげない佇まいの中に、
静かな美しさを宿している。
その灯りの中には、彼らが大切に育んできた、
暮らしへの想いがあった。
その想いは、私たちに物事を深く見つめる大切さを教えてくれる。
後編「灯りが導く旅」では、ある小さな灯りに導かれ始まった、
新たな旅を辿りながら、その先で手にした彼らの想いを見つめてゆきたい。
- text / photo HAS / Hiroaki Watanabe
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[ 序章 ]窓越しの灯り
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[ 前編 ]小さな灯り
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[ 後編 ]灯りが導く旅
Lights
Lights

心にかなう場所
北欧フィンランドの旅で出会った小さな灯り。
その灯りは、本当の豊かさとは何かを静かに語りかけてきた。
その出会いがきっかけとなり、暮らしやもの作り、お店への想いも、すべてが少しづつ変化していった。
やがて、それはひとつの想いとして結実する。
お店の規模を小さくし、手の届く範囲で、ひとつひとつ丁寧にものを作り、本当に必要としてくれる人のもとに、灯りを届けたいという想いへと。
そして、その想いを自然に包まれた豊かな場所で、かたちにしたいと。
そうして神達さんは、理想とする場所を見つけるために、歩み始めるのだ。
最初は、不動産屋を訪れた。
だが紹介してもらった物件の中には、自らの心にかなう場所はなかった。

それなら自分の足で見つけようと、大阪の北摂から兵庫まで、あらゆる家々や空き地も含めて、様々な場所を探し回る日々が始まる。
その期間は、なんと一年半にも及んだ。
そんなある日、芦屋川が目の前に流れる、ある土地にたどり着く。
そこは、六甲の山々を背景に、豊かな自然に包まれた土地だった。
まさに思い描いていた理想と重なり合う場所だった。
一年半にも及ぶ時間は、最初は漠然としていた理想に、いつの間にか確かな輪郭を与えていたのだ。
だからこそ、その土地を見つけた瞬間、ここしかないとすぐに理解出来たという。
長い時間をかけ、様々な場所を探し回った時間は、決して無駄ではなかったのだ。

そして、自らの手で店舗兼自宅を設計し、理想の場所をしつらえていった。
美しい自然に包まれた、ひとつひとつの灯りに向き合うことが出来る場所を。
そしてまた、もの作りの在り方もさらに深めてゆきたいと考えていた。
その想いを実現するために、彼は、ある手紙を送るのだ。
手紙の宛先は、一人のファッションデザイナー。
ファションブランド「ミナ ペルホネン」を手掛ける、デザイナーの皆川明さんだった。

灯りのかたち
ブランド名の「ミナ ペルホネン」とは、フィンランド語の「minä = 私」と「perhonen = ちょうちょ」を組み合わせ、作られた名前。
皆川さんがフィンランドを旅する中で、そのライフスタイルやカルチャーに共感し、名付けられたブランドだ。
想いのこもった丁寧な生地作りから生まれる、上質な服の数々。
ブランドが掲げる「せめて100年続くブランド」という言葉にも、以前から深い共感を抱いていた。

- text / photo HAS / Hiroaki Watanabe
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text / photo :HAS ディレクター / デザイナー。 神戸市出身 京都在住。
立命館大学産業社会学部在学中に、インディペンデントの音楽イベントの企画・運営に携わる。
卒業後は環境音楽の制作を開始。その後、独学でウェブ・グラフィックデザインを学び、2019年にHAS創業。
時を奏でる物語をテーマに、デザイン、言葉、写真、音楽を重ね合わせながら制作を行う。HAS : www.has-story.jp
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[ 序章 ]窓越しの灯り
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[ 前編 ]小さな灯り
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[ 後編 ]灯りが導く旅