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或る時の詩
片山敏彦
『日本の詩歌 26 近代詩集』より

心の嵐が今去つたところだ
熱い嵐の中で、つめたい心がこゞえて
獣になつて魂の野を
走りまはつてゐた。
火に烙やかれながら、一つの氷が
曇り日の天に向つて叫んだ。

心の嵐が今去つたところだ。
疲れた氷の火が静かにとけて
秋の曇り日の天の下に
春のやうなひかりを感じる。
やつと見つけたお母さんの乳房に
泣きじやくりながら、かじりつく赤ん坊に
私のこゝろは似てゐると思ふ。

Artist
片山敏彦
片山 敏彦(かたやま としひこ / 1898 - 1961年)は、高知県高知出身の詩人・翻訳家。
1924年3月東京帝国大学ドイツ文学科卒業、同年4月より法政大学予科ドイツ語専任教授となる。
戦前に渡欧し、スイスにロマン・ロランのもとを訪れ、大きな影響を受ける。
西欧の文学と芸術を深く愛し、ロマン・ロラン、ヘッセ、リルケ、ハイネ、ゲーテといった独仏文学の翻訳も数多く手掛けた。
Refference
日本の詩歌 26 近代詩集

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  • 出版 中央公論社

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Pino
Otto A Totland
穏やかな春を想うピアノ
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穏やかな春を想うピアノ

短い日照時間によって、長い暗闇に包まれる北欧の冬。
この音楽は、そんな冬の闇に暖かな光を灯すように紡がれたピアノ曲です。

彼の初となるピアノソロ・アルバム「Pinô」に収録された、アルバム名と同じ名前の一曲。
この曲は、ノルウェー出身の音楽家 Otto A Totland オット・A・トットランドによって生み出されました。

まるで穏やかな春の日を想わせる、どこか優しく、柔らかな温もりに包まれたこの曲は、北欧の長い冬の先にある微かな春の光を私たちに感じさせてくれます。

Artist
Otto A Totland
1979年、ノルウェー・ポールスグルン出身の音楽家。
トラックメイキングから音楽制作を始め、その後ピアノでの作曲を行うようになる。
憂いを帯びた美しいサウンドスケープを描く「Deaf Center」のメンバーとしての音楽活動を経て、2014年に初のソロピアノ作品「Pino」を発表した。
ひとつひとつのピアノの音色を丁寧に紡ぐ、優しい音楽を紡いでいる。
Refference
Pino
  • ArtistOtto A Totland
  • AlbumOtto A Totland
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Will I Know
Sea Oleena
透明な光をすくうように
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透明な光をすくうように

澄み切った水面に零れ落ちる光。
この曲は、そんな自然が描く束の間のひと時をすくい上げるように紡がれた楽曲です。

この曲は、カナダ・サスカチュワン州出身の女性アーティストCharlotte Oleena (シャルロット・オリーナ)によるソロ・ユニット、Sea Oleena (シー・オリーナ)によって紡がれました。

彼女が生まれたカナダ・サスカチュワン州は、広大な草原と十万を数える湖と川が流れ、果てしなく広がる青い空に包まれた雄大な自然が息づく土地。
まるで美しい自然のひと時を紡ぐような彼女の音楽は、そんな彼女の心の中に流れる心象風景を描いたものなのかもしれません。

Artist
Sea Oleena
カナダ・モントリオール在住の女性アーティスト、ヴォーカリスト/多楽器奏者のCharlotte Oleena (シャルロット・オリーナ)によるソロ・ユニットSea Oleena (シー・オリーナ)。

子供時代にピアノ教室に通うも馴染まず、独学で作曲を始める。その後、偶然実家の空き部屋のベッドの下に、古いアコースティックを見つけたことがきっかけとなり、最初のセルフアルバムを完成する。
Refference
Will I Know
  • ArtistSea Oleena
  • AlbumSea Oleena
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希望
土井 晩翠
『天地有情』より

沖の汐風吹きあれて
白波いたくほゆるとき、
夕月波にしづむとき、
黒暗くらやみよもを襲ふとき、
空のあなたにわが舟を
導く星の光あり。

ながき我世の夢さめて
むくろの土に返るとき、
心のなやみ終るとき、
罪のほだしの解くるとき、
墓のあなたに我魂たまを
導びく神の御聲みこえあり。

嘆き、わづらひ、くるしみの
海にいのちの舟うけて
夢にも泣くか塵の子よ、
浮世の波の仇騷ぎ
雨風いかにあらぶとも
忍べ、とこよの花にほふ

港入江の春告げて、
流るゝ川に言葉あり、
燃ゆる焔に思想おもひあり、
空行く雲に啓示さとしあり、
夜半の嵐に諫誡いさめあり、
人の心に希望のぞみあり。

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Artist
土井 晩翠
土井 晩翠(どい ばんすい / 1871 - 1952年)は、宮城県仙台市出身の詩人・英文学者。
本名は、土井 林吉(つちい りんきち)。

裕福な商家に生まれ、幼少期より学問への強い興味を持っていたが、商人に学問は不要と祖父の強い反対を受け、当初は学問の道を諦め、家業を継ぐために働き始める。だが学問への想いは消えず、仕事の合間を縫い、独り学び続けた。
その熱意にほだされ、最終的に祖父も進学の道を認め、本格的に学問への道に進む。
その後、東京帝国大学英文科に進み、学業の傍らで様々な詩を発表する。

男性的な漢詩調の詩風で、女性的な詩風の島崎藤村と並んで「藤晩時代」と称された。
瀧廉太郎の作曲の「荒城の月」の作詞者としても知られ、校歌も数多く作詞した。
英文学者としは、ホメロス、カーライル、バイロンなどを翻訳。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。
Refference
天地有情

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  • 著者 土井 晩翠

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  • 出版 青空文庫

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歩み入る者にやすらぎを、去り行く人にしあわせを
東山魁夷
『追憶の古都』より
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Artist
東山魁夷
この言葉は、日本を代表する風景画家・東山魁夷の残した画集「追憶の古都」に残されていた言葉。
この本は、東山魁夷がドイツやオーストリアの古い町並みを旅しながら、その旅の中で感じた想いを自らの絵と文章で綴った本。
本の冒頭に、この言葉は添えられています。
Refference
追憶の古都

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  • 著者 東山魁夷

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  • 出版 ビジョン企画出版社

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Little Gray Cat
Grouper
重なり合う幽玄な歌声を
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重なり合う幽玄な歌声を

アメリカ・ポートランド出身の女性アーティスト Grouperと Inca Ore の Splitアルバムからの一曲。それぞれの繊細な歌声がレイヤーのように重なり合い、幽玄な時間を紡ぎ出す美しい一曲です。

Artist
Grouper
アメリカ・ポートランド出身の女性アーティスト、Liz Harris リズ・ハリス のソロ・プロジェクト Grouper。
空間を満たすサウンドスケープとシンプルなピアノの音色を背景に、ささやくような歌声を重ね合わせ、幻想的な世界観を生み出している。
また音楽のみならず、自らのアルバムジャケットのアートワークも手掛けるなど、音楽とアートの垣根を越えた表現を行う。
Refference
Little Gray Cat
  • ArtistGrouper
  • AlbumGrouper
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雲
山村暮鳥
『雲』より

雲もまた自分のやうだ
自分のやうに
すつかり途方にくれてゐるのだ

あまりにあまりにひろすぎる
涯はてのない蒼空なので

おう老子よ
こんなときだ

にこにことして
ひよつこりとでてきませんか

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Artist
山村暮鳥
山村 暮鳥(やまむら ぼちょう / 1884 - 1924年)は、山村暮鳥は明治から大正にかけて活躍した現在の高崎市出身の詩人・児童文学者。
本名、土田八九十(つちだ はくじゅう)。
1909年、人見東明から「静かな山村の夕暮れの空に飛んでいく鳥」という意味をこめ「山村暮鳥」の筆名をもらう。
築地の聖三一神学校時代に文学に開眼し、卒業後はキリスト教の伝道師として各地で布教活動をしながら詩を書き続け、数多くの作品を生み出した。
代表作は『聖三稜玻璃』(1915年)、『風は草木にささやいた』(1918年)、『雲』(1925年)など。
Refference
雲

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  • 著者 山村暮鳥

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  • 出版 青空文庫

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隠沼
石川啄木
『詩』より

夕影しづかに番つがひの白鷺しらさぎ下り、
槇の葉枯れたる樹下こしたの隠沼こもりぬにて、
あこがれ歌ふよ。

『その昔、よろこび、そは朝明、光の揺籃ゆりごに星と眠り、
悲しみ、汝こそとこしへ此処ここに朽ちて、
我が喰はみ啣ふくめる泥土ひづちと融とけ沈みぬ。』

愛の羽寄添ひ、青瞳うるむ見れば、
築地ついぢの草床、涙を我も垂れつ。

仰げば、夕空さびしき星めざめて、
しぬびの光よ、彩なき夢ゆめの如く、
ほそ糸ほのかに水底に鎖ひける。

哀歓かたみの輪廻めぐりは猶なほも堪こらへめ、
泥土ひづちに似る身ぞ。

ああさは我が隠沼こもりぬ、
かなしみ喰はみ去る鳥さへえこそ来めや。

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Artist
石川啄木
石川 啄木(いしかわ たくぼく / 1886 - 1912年)は、岩手県出身の詩人。
啄木は雅号で、本名は石川 一(いしかわ はじめ)。
旧制盛岡中学校中退後、明治35(1902)年与謝野鉄幹の知遇を得て、『明星』に寄稿する浪漫主義詩人として頭角を現す。19歳の時に、処女作となる詩集『あこがれ』を刊行。
同時期に盛岡に帰郷し結婚するも、生活難のため母校の代用教員となる。
明治41(1908)年に上京、創作に没頭し小説を発表するが認められず、困窮の生活を送り、翌年に東京朝日新聞に就職。
明治43(1910)年に『一握の砂』を刊行、歌人としての地位を確立する。
また、同年に起きた幸徳事件(大逆事件)をきっかけに社会主義への関心を深め、文学評論も執筆したが、26歳の時に結核を患い帰らぬ人となる。
Refference
詩

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  • 著者 石川啄木

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  • 出版 青空文庫

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Wintering
Laura Gibson
穏やかな陽だまりのような歌声を
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穏やかな陽だまりのような歌声を

優しい日差しに包まれた昼下がりのひと時。 この音楽は、そんな午後の穏やかな陽だまりを描くように紡がれた一曲です。

この歌の主は、アメリカ・オレゴン州の小さな町コキール出身の女性シンガーソングライターのLaura Gibson ローラ・ギブソン。
「If You Come To Greet Me」と名付けられたアルバムに収録されています。

穏やかな陽だまりが心をゆっくりとほどいてゆくように、聴く人の心を穏やかに灯してくれる音楽です。

Artist
Laura Gibson
アメリカ・オレゴン州の小さな町コキール出身の女性シンガーソングライターのローラ・ギブソン。
ニューヨークとオレゴンを拠点に、四大陸でのツアーを行うなど世界各地で音楽活動を行っている。
伝統的な民族音楽と実験的な精神の両方を大切にしながら領域にとらわれない幅広い音楽制作を行っている。
Refference
Wintering
  • ArtistLaura Gibson
  • AlbumLaura Gibson
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Healing Is A Miracle
Julianna Barwick
奇跡のような癒しを紡ぐ歌声
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奇跡のような癒しを紡ぐ歌声

アメリカ・ルイジアナ州出身、現在はロサンゼルスを拠点に活動する作曲家・ヴォーカリスト・プロデューサーのジュリアナ・バーウィック(Julianna Barwick)による一曲。

この曲と同じタイトルが付けられたアルバムの題名は『Healing Is A Miracle』。
このアルバムのテーマは「自然治癒能力」。
人間の体が自らを癒す「自然治癒能力」の奇跡のような働きにインスパイアされ、生み出された一曲です。

そんな彼女の歌声が紡ぎ出す幻想的な時間は、耳を傾ける人々の心を穏やかに癒してくれます。
それはまさに彼女が想い描く奇跡のような癒しの力なのかもしれません。

Artist
Julianna Barwick
ジュリアナ・バーウィック(Julianna Barwick)は、アメリカ・ルイジアナ州出身、現在はロサンゼルスを拠点に活動する作曲家・ヴォーカリスト・プロデューサー。
子供時代のルイジアナでの聖歌隊での活動を背景に、自身のヴォーカルをモチーフにサンプラーを用いて幾重にも歌声を重ねながら作曲する、独自のスタイルを持つ音楽家である。
Refference
Healing Is A Miracle
  • ArtistJulianna Barwick
  • AlbumJulianna Barwick
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片町に更紗染めるや春の風
与謝蕪村
『郷愁の詩人 与謝蕪村』より
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Artist
与謝蕪村
与謝 蕪村(よさ ぶそん / 1716 - 1784年)は、江戸時代中期の日本の俳人・文人画家。
現在の大阪郊外、淀川に近い村で生まれ、20歳前に江戸へ出ると、巴人(はじん)という俳人に師事して俳句を学び始める。
28歳の頃、俳号として「蕪村」を名乗り始め、松尾芭蕉への憧れから10年に近い放浪生活を重ね、42歳のときに京都へ定住した。
絵と俳句の両面で独自の世界観を描き出し、近代の俳人や詩人たちにも大きな影響を与えた。
Refference
郷愁の詩人 与謝蕪村

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  • 編集 萩原朔太郎

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  • 著作 与謝蕪村

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  • 出版 青空文庫

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