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Kie
Illuha
水面の光をすくい上げるように
水面の光をすくい上げるように

明け方のまだ淡い朝日に照らされた水面の光。
この音楽は、そんな朝の光に溶かされ、淡いオレンジの輝きに染まる水面をすくい上げるように紡がれた音響作品です。

「Shizuku」というアルバムの中に収められた一曲。
この曲は、東京を拠点に活動する音楽ユニットILLUHA イルハによって紡がれました。

アルバムの名前に付けられた「雫」という言葉。
この言葉が表すように、水と光が織りなす美しい雫のような時間を私たちの暮らしに届けてくれます。

Artist
Illuha
イルハは、アメリカ生まれ、日本育ちの Corey Fuller コリー・フラーとブラジル生まれ、日本育ちの伊達伯欣による、東京を拠点にする音楽ユニット。
アコースティック楽器の音色と電子楽器による音の響きを重ね合わせながら、柔らかで美しい音響世界を作り上げている。
Refference
Kie
  • ArtistIlluha
  • AlbumIlluha
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或る風に寄せて
立原道造
『暁と夕の詩』より

おまへのことでいっぱいだった 西風よ
たるんだ唄のうたいやまない 雨の昼に
とざした窓のうすあかりに
さびしい思ひを噛みながら

おぼえてゐた おののきも 震えも
あれは見知らないものたちだ……
夕ぐれごとに かがやいた方から吹いて来て
あれはもう たたまれて 心にかかってゐる

おまへのうたった とほい調べだ――
誰がそれを引き出すのだろう 誰が
それを忘れるのだろう……そうして

夕ぐれが夜に変るたび 雲は死に
そそがれて来る うすやみのなかに
おまへは 西風よ
みんななくしてしまった と

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Artist
立原道造
立原 道造(たちはら みちぞう / 1914 - 1939年 )は、東京都中央区出身の詩人であり、建築家としての足跡も残した。
若干13歳にして自選の歌集や詩集をまとめ、第一高等学校在学中から堀辰雄と室生犀星に師事。
その後、東京帝国大学工学部建築学科に入学。同学部の1学年下には、丹下健三が在籍していた。
建築の分野でも際立った才能を発揮し、在学中に辰野金吾賞を3回受賞するなど将来を嘱望された。
さらに、詩の分野でも『萱草に寄す』と『曉と夕の詩』を立て続けに出版し、第1回中原中也賞を受賞するも結核を患い24歳という若さで帰らぬ人となる。
Refference
暁と夕の詩
  • 著者 立原道造
  • 出版 青空文庫
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Pino
Otto A Totland
穏やかな春を想うピアノ
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穏やかな春を想うピアノ

短い日照時間によって、長い暗闇に包まれる北欧の冬。
この音楽は、そんな冬の闇に暖かな光を灯すように紡がれたピアノ曲です。

彼の初となるピアノソロ・アルバム「Pinô」に収録された、アルバム名と同じ名前の一曲。
この曲は、ノルウェー出身の音楽家 Otto A Totland オット・A・トットランドによって生み出されました。

まるで穏やかな春の日を想わせる、どこか優しく、柔らかな温もりに包まれたこの曲は、北欧の長い冬の先にある微かな春の光を私たちに感じさせてくれます。

Artist
Otto A Totland
1979年、ノルウェー・ポールスグルン出身の音楽家。
トラックメイキングから音楽制作を始め、その後ピアノでの作曲を行うようになる。
憂いを帯びた美しいサウンドスケープを描く「Deaf Center」のメンバーとしての音楽活動を経て、2014年に初のソロピアノ作品「Pino」を発表した。
ひとつひとつのピアノの音色を丁寧に紡ぐ、優しい音楽を紡いでいる。
Refference
Pino
  • ArtistOtto A Totland
  • AlbumOtto A Totland
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Wintering
Laura Gibson
穏やかな陽だまりのような歌声を
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穏やかな陽だまりのような歌声を

優しい日差しに包まれた昼下がりのひと時。 この音楽は、そんな午後の穏やかな陽だまりを描くように紡がれた一曲です。

この歌の主は、アメリカ・オレゴン州の小さな町コキール出身の女性シンガーソングライターのLaura Gibson ローラ・ギブソン。
「If You Come To Greet Me」と名付けられたアルバムに収録されています。

穏やかな陽だまりが心をゆっくりとほどいてゆくように、聴く人の心を穏やかに灯してくれる音楽です。

Artist
Laura Gibson
アメリカ・オレゴン州の小さな町コキール出身の女性シンガーソングライターのローラ・ギブソン。
ニューヨークとオレゴンを拠点に、四大陸でのツアーを行うなど世界各地で音楽活動を行っている。
伝統的な民族音楽と実験的な精神の両方を大切にしながら領域にとらわれない幅広い音楽制作を行っている。
Refference
Wintering
  • ArtistLaura Gibson
  • AlbumLaura Gibson
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隠沼
石川啄木
『詩』より

夕影しづかにつがひ白鷺しらさぎ下り、
槇の葉枯れたる樹下こした隠沼こもりぬにて、
あこがれ歌ふよ。

『その昔、よろこび、そは朝明、光の揺籃ゆりごに星と眠り、
悲しみ、汝こそとこしへ此処ここに朽ちて、
我がふくめる泥土ひづちと融とけ沈みぬ。』

愛の羽寄添ひ、青瞳うるむ見れば、
築地ついぢの草床、涙を我も垂れつ。

仰げば、夕空さびしき星めざめて、
しぬびの光よ、彩なき夢ゆめの如く、
ほそ糸ほのかに水底に鎖ひける。

哀歓かたみの輪廻めぐりなほこらへめ、
泥土ひづちに似る身ぞ。

ああさは我が隠沼こもりぬ
かなしみみ去る鳥さへえこそ来めや。

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Artist
石川啄木
石川 啄木(いしかわ たくぼく / 1886 - 1912年)は、岩手県出身の詩人。
啄木は雅号で、本名は石川 一(いしかわ はじめ)。
旧制盛岡中学校中退後、明治35(1902)年与謝野鉄幹の知遇を得て、『明星』に寄稿する浪漫主義詩人として頭角を現す。19歳の時に、処女作となる詩集『あこがれ』を刊行。
同時期に盛岡に帰郷し結婚するも、生活難のため母校の代用教員となる。
明治41(1908)年に上京、創作に没頭し小説を発表するが認められず、困窮の生活を送り、翌年に東京朝日新聞に就職。
明治43(1910)年に『一握の砂』を刊行、歌人としての地位を確立する。
また、同年に起きた幸徳事件(大逆事件)をきっかけに社会主義への関心を深め、文学評論も執筆したが、26歳の時に結核を患い帰らぬ人となる。
Refference
  • 著者 石川啄木
  • 出版 青空文庫
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ひとの悲しみに
ウィリアム・ブレイク
『無垢と経験のうた』より

ほかの人が苦しんでいるのを見たら、
私も悲しまずにはいられない。
ほかの人が苦しんでいるのを見たら、
慰める方法を考えずにはいられない。

涙がこぼれ落ちるのを見たら、
同じ気持ちにならずにはいられない。
父が子の泣く姿を見たら、
悲しみで胸がいっぱいにならずにはいられない。

子どもが幼い恐怖にうめき苦しんているのに、
母親は黙ってそれを聞いていることができるだろうか。
いやいやそんなことはできはしない。
決してできるわけがない。

まして私たちみなに微笑みかけて下さる方が、
鷦鷯みそさざいの小さな悲しみを聞き
小鳥たちの憂いや悩みを聞き
子どもたち哀れな様子を聞いたら、

巣のかたわらに座って
彼らの胸に憐れみの心を注いだり、
揺りかごのそばに座って
子どもたちとともに涙せずにいられようか。

私たちの涙をぬぐうために、
昼も夜も私たちを見守らずにいられようか。
いやいやそんなことはできはしない。
決してできるわけがない。

その方はあらゆるものに歓びを与え、
その方は小さな子どもになられる。
その方は嘆きの人となって、
その方は悲しみをともにする。

あなたがため息をついているのにあなたを創った方が、
ため息をつかないなどと考えてはならない。
あなたが涙を流しているのにあなたを創った方が、
涙を流さないなどと考えてはならない。

おお、神は私たちに歓びをくださる、
神は私たちの悩みを打ち砕く、
私たちの悩みが消え去るまで、
神は私たちの傍らで悲しみつづける。

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Artist
ウィリアム・ブレイク
ウィリアム・ブレイク(1757-1827年)はイギリスの詩人・画家・版画家。
ブレイクは、ビジョンと呼ばれる幻視体験に基づいた特異な見解から同時代の人々からは狂人扱いされており、生前は詩人としては認められることはなく、一介の彫版師として生活した。
その後の批評家や読者からは、その表現力と創造性、そして作品内の哲学的・神秘主 義的な底流が高く評価されるようになり、ワーズ・ワース、コール・リッジらとともにイギリス・ロマン派の詩人の重要人物として知られている。
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無垢と経験のうた
  • 著者 ウィリアム・ブレイク
  • 出版 青空文庫
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竹の林の歌
北原白秋
『観相の秋』より

わが宿の竹の林に、夕あかりかがよふ見れば、
その竹の湿る根ごとに、何か散り、深く光れり。

その節のひとつひとつに、何かまた留り光れり。
その笹のさみどりの葉に、何かまた揺れて光れり。

金色のその光るもの、こまごまと眼に染しみるもの、
雨ふりてあかれるのちは、とりわけて揺れてうつくし。
寂しくて見てゐるきはは、いよいよに消えてうつくし。

揺るるともただ見てらむ、消ゆるともまた見て居らむ、
堪へ堪へて日の暮るるまで、なほなほに寂しがりつつ。

わがやどの竹の林の夕あかり、裏山松の松風の音のこなたに。

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Artist
北原白秋
北原 白秋(きたはら はくしゅう / 1885 - 1942年)は、福岡県柳川出身の詩人・童謡作家・歌人。
本名は、北原 隆吉(きたはら りゅうきち)、
1904年に早稲田大学に入学と共に上京。明治39(1906)年与謝野寛に誘われ新詩社に参加、『明星』で活躍する。
治42(1909)に第一詩集『邪宗門』を発表。2年後に詩集「思ひ出」を発表すると名実ともに詩壇の第一人者となる。
生涯にわたり多数の優れた詩歌を残し、近代日本を代表する詩人とされている。
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観相の秋
  • 著者 北原白秋
  • 出版 青空文庫
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what’s on the inside
marine eyes
記憶の彼方を灯す歌声
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記憶の彼方を灯す歌声

アメリカ合衆国サンフランシスコ州ロサンゼルスを拠点に活動する、アンビエント作家 marine eyes(マリーン・アイズ)こと、シンシア・バーナードによる一曲。

「what’s on the inside」と名付けられたこの曲は、彼女のアルバム「chamomile カモミール」の中に収められています。

アルバム名の「chamomile カモミール」とは、ハーブティーとしても良く用いられる植物の名前から付けられたもの。

仕事の合間に自らの記憶を手繰り寄せるように日記を書きながら、カモミールティーを飲む時間は、心を自らの中心に戻す大切な時間だと語っています。

彼女にとって「chamomile カモミール」とは落ち着きの象徴であり、自らの心の中に平穏を取り戻す力となるもの。
このアルバムには、彼女がカモミールティーを飲みながら、これまで綴った日記のページをめくるように、彼女の目にした様々な美しい風景が詰まっています。

楽曲のタイトル「what’s on the inside」とは、「心の内側では何が起きているの?」という意味。
朧げで美しい光に包まれるようなこの曲は、聴く人を遥か遠い記憶の彼方に導いてくれるような気がします。

柔らかな光に包まれる静かな朝、静まり返った真夜中に、ふと穏やかな記憶の灯を届けてくれる美しい一曲です。

Artist
marine eyes
marine eyes(マリーン・アイズ)こと、シンシア・バーナードは、アメリカ合衆国カリフォルニア州のロサンゼルスを拠点に活動する、アンビエント作家。
幽玄で美しいヴォーカルとフィールド・レコーディングやギター、シンセサイザーを重ね合わせながら、温かく穏やかなサウンドスケープを描き出している。
Refference
what’s on the inside
  • Artistmarine eyes
  • Albummarine eyes
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夜になれば星あらはれて 晝(ひる)になれば星消え去りて 月日うつり行く
長塚節
『長塚節歌集』より
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Artist
長塚節
長塚 節(ながつか たかし/1879 - 1915年)は、茨城県出身の歌人、小説家。
中学校2年生の学年試験では、平均84点で102人中3番の成績だったが、3年生の頃から不眠症の徴候があり、4年生進級後も回復しないため退学し、自然に触れながら療養生活の中で短歌に親しんだ。
正岡子規の『歌よみに与ふる書』に深い感銘を受け、1900年に入門。ひたすら子規の写生の風を摂取、子規短歌の最も正当な継承者と言われた。
32歳の時に喉頭結核の診断を下され、各地の病院で治療に努めながら、日本を旅して231首の短歌を発表するも、その4年後の
1915年の2月8日に、福岡県の九州帝国大学医科大学(現九州大学医学部)付属病院で36歳の若さで亡くなった。
Refference
長塚節歌集
  • 著者 長塚 節
  • 出版 青空文庫
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山村暮鳥
『雲』より

雲もまた自分のやうだ
自分のやうに
すつかり途方にくれてゐるのだ

あまりにあまりにひろすぎる
はてのない蒼空なので

おう老子よ
こんなときだ

にこにことして
ひよつこりとでてきませんか

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Artist
山村暮鳥
山村 暮鳥(やまむら ぼちょう / 1884 - 1924年)は、山村暮鳥は明治から大正にかけて活躍した現在の高崎市出身の詩人・児童文学者。
本名、土田八九十(つちだ はくじゅう)。
1909年、人見東明から「静かな山村の夕暮れの空に飛んでいく鳥」という意味をこめ「山村暮鳥」の筆名をもらう。
築地の聖三一神学校時代に文学に開眼し、卒業後はキリスト教の伝道師として各地で布教活動をしながら詩を書き続け、数多くの作品を生み出した。
代表作は『聖三稜玻璃』(1915年)、『風は草木にささやいた』(1918年)、『雲』(1925年)など。
Refference
  • 著者 山村暮鳥
  • 出版 青空文庫
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When We Fail
Grouper
朝靄に包まれるような美しさを
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朝靄に包まれるような美しさを

木々の隙間から微かに零れる光が朝靄を静かに染める夜明け。
この音楽は、そんな美しい朝のひと時をすくい上げるように紡がれた一曲です。

この曲は、アメリカ・ポートランド出身の女性アーティスト Grouperの5作目となるアルバム「Dragging a Dead Deer up a Hill」の中に収録されています。

淡い光に包まれる、儚く美しい朝のひと時のような時間を私たちに届けてくれます。

Artist
Grouper
アメリカ・ポートランド出身の女性アーティスト、Liz Harris リズ・ハリス のソロ・プロジェクト Grouper。
空間を満たすサウンドスケープとシンプルなピアノの音色を背景に、ささやくような歌声を重ね合わせ、幻想的な世界観を生み出している。
また音楽のみならず、自らのアルバムジャケットのアートワークも手掛けるなど、音楽とアートの垣根を越えた表現を行う。
Refference
When We Fail
  • ArtistGrouper
  • AlbumGrouper
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