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Produced by STUDIO HAS
木漏れ日と静寂に包まれる寺院「古知谷 阿弥陀寺」

諸国を巡り歩いた僧が辿り着いた隠棲の地

「古知谷 阿弥陀寺」は、今から約400年前、1609年3月 弾誓上人によって開かれた寺院。 1552年に尾張国(現在の愛知県)で生まれた弾誓上人は、九歳の時に自ら出家し、美濃国(現在の岐阜県)のお堂、そして武芸という地域の山奥で二十年あまりの修行を重ね、 佐渡ヶ島の檀特山で悟りを開き、さらに信濃国(現在の長野県)、相模国(現在の神奈川県)などの 諸国を巡りながら布教と修行を行なった。

立ち並ぶ木々の隙間から差し込む木漏れ日が印象的な参道

木漏れ日に照らし出された葉の色が美しい

そして、修行を重ねた末に辿り着いた京都で、加茂川の大橋にさしかかった時に、吉祥の兆と言われる 瑞雲が遥か彼方、古知谷にたなびくのを見て、この場所を最後の修行の地として定めたと言う。 入山した当初は、一人、山深い場所に分け入り、岩穴に住み、念仏三昧の修行を行っていたが、かつて近江国(現在の滋賀県)にあった伊香立村の人々との縁がきっかけとなり、自身の寺院を建立することとなった。 修行を重ねる中で辿り着いた、理想の人間像を自らの手で、像として彫り起こし、寺院の本尊として据え、「光明山 法国院 阿弥陀寺」という名前の元、寺院としての一歩を歩み始めた。

長い参道を抜け、石段を登った先に、寺院はある。

連綿と続く歴史の中で、今もなお思い継がれる場所

弾誓の修行の在り方は、捨世派という、当時の寺院の俗化や僧侶の形骸化を嘆き、 法然の念仏思想に立ち返るべく、静閑な地を修行の場として定め念佛修行を行った、 その一つの流れの中に位置付けられると言われている。 生涯を通し、自己に向き合い続ける為に、遍歴を重ね辿り着いた静寂の地。 ただ一人孤独の中で修行を重ねていくその姿を思い浮かべると、 どこか近寄り難い厳しさを思い浮かべる方もいるかもしれない。

決して派手ではないが、素朴で味わいのある建築が印象的だ。

だが、村の人々との縁がきっかけとなり生まれたというこの寺院の成り立ちを思い遣ると、人々との関わりを大切にした、弾誓の穏やかな姿も思い浮かべることが出来るのではないだろうか。 寺院の中にある、来訪者が綴るノートをめくると、静かなこの土地を大切に想う人々の声で溢れていた。 木漏れ日が差し込む、この静かな寺院は、今も昔も変わらず、人々の中で大切に想い継がれているようだ。

「古知谷 阿弥陀寺」

住所
京都市左京区大原古知谷平町
交通案内
京都バス 古知谷下車 徒歩約15分
駐車場
自家用車40台分
拝観時間
9:00~16:00
電話番号
075-744-2048
休日
1月、2月は休み
photo / text : STUDIO HAS
エディトリアルスタジオ「STUDIO HAS(スタジオ・ハス)」。メディア「HAS 」の運営をはじめ、編集・デザインを軸に様々なメディアの制作を行なっています。